第二章 傷付いたが
生徒会選挙
第24話 6月という月
全てが迷っているという事なのだろうか。
俺は考えながら.....花梨の悲鳴を聞き。
そして鈴原の事を考えた。
だがもう現実は変わらない。
だから俺は目の前だけを見据えて歩こうと思う。
「渚」
「.....どうした。春香」
「私はまだ鈴原に対してはやっぱり許せない気持ちがある。だけど花梨さんとかの話を聞くとね。.....どうしたら良いんだろう」
「鈴原も花梨もやっぱり馬鹿野郎だとは思う。.....だけど何か.....そうだな。花梨は取り敢えずは鈴原に会ってから考えた方が良いだろうとは思う。ここら辺は俺らがサポート出来ないと思うしな。鈴原と話を一対一でさせてやった方が良いと思う」
「だね。確かにね」
それから歩いていると歩幅が遠くなる。
その事に俺は背後を振り返ると。
そこに赤くなっている顔の春香が立っていた。
俺は、どうした?、と聞くと。
春香は、私達って不思議だね、と言ってきた。
「.....何がだ?」
「こういう出会いもそうだけど.....何か色々な人に出会って。そして君をどんどん好きになっていく」
「おいおい.....」
「だってそうだと思う。.....君を小馬鹿にしていたのは反省点だけど」
「そうだな。でもお前はもう社会的に制裁を受けているしな」
「うん。でも反省は大切だから胸に入れとくね」
それから歩き出した俺達。
その間は無言の感じだった。
そして家に帰り着いてから俺は春香を見る。
春香は、ねえ。渚、と聞いてきた。
その言葉に、どうした、と聞いてみる。
「元に戻れるかな。花梨と鈴原」
「.....さあな。アイツらの努力次第だと思うぞ」
「そうだね。確かに.....そうだと思う」
そしてそんな感じで別れてから。
そのまま1ヶ月が経過した。
この間には色々な事があったのだが。
どういう事かというと。
まず1つ目に鈴原と優樹菜さんが転校した。
それから花梨だが。
花梨は一身上の都合だと。
学校を辞め俺達の前から姿を消した。
この中で唯一、目黒先生は何か知っている様だが.....。
ともあれ本当に色々な事があったと思う。
それからの6月だが。
6月は.....生徒会選挙があるな.....、と思う。
そして俺はネクタイを締める。
今日は実は学校にまた行く事になったのだ。
「花梨もそうだが.....鈴原も上手くやれれば良いがな」
俺はその様に考えながら久々の埃を被った様な鞄を持ち上げる。
それから学校に向かう為にそのまま登校を始めようとする。
すると、渚さん、と声がした。
背後を見ると心配げな顔をしている夢が立っている。
「.....大丈夫かな。学校行って」
「.....俺はクラスに登校するんじゃない。今は保健室登校だからな。だからまあ大丈夫だろ。何かあったら避難するしな」
「渚さんに悪い事をした連中が頭冷やしたって言うけどね。まだ不安」
「そうだな。それは俺も同じだ。頭を冷やしたって言うけどな」
そんな感じで会話をしながら登校しだす。
今日は朝が少しだけ早かったな。
思いながらだが。
それから玄関を開けると。
そこに春香が居た。
「.....春香さん.....」
「アハハ。夢ちゃん。おはよう」
「.....お前ら。玄関先で喧嘩するなよ?」
青白い光をバチバチ散らす2人を見る俺。
額に手を添える感じだが.....。
止めたりしながら俺は苦笑いを浮かべる。
そうしていると、明日から服装が変わるね。衣替えだけど、と言ってくる。
春香がであるが。
「そうだな。色々あったが取り合えずは間に合って良かった。衣替えの前にな」
「まあ確かにね。本当に色々あったね」
「そうだな.....」
そんな会話をしながら玄関に鍵を掛ける俺。
それから学校に登校する為に歩き出した。
何だか本当に久々で頭が痛いな。
だけど.....色が付いている気がする。
全てに。
「渚さん」
「.....何だ?」
「右の腕借ります」
「.....は?」
そして俺の右腕に自らの腕を絡ませてくる夢。
それから、あ!ずるい!じゃあ私は左腕を!、と言いながら春香も絡まって来る。
何やってんだお前ら!
思いながら慌てる俺を他所に2人はバチバチとまた火花を散らす。
「お前らな。こういう場所で喧嘩するな」
「だってライバルですから」
「そうだよねぇ。恋のね」
「そうです」
「お前ら.....」
まあそうだろうけど喧嘩していると何だかイヤンな感じだぞ。
俺は考えながら盛大な溜息を吐きながら2人を見る。
2人はニコニコしながら俺を見ていた。
全くコイツらは、と思う。
そんな事を考えて前を見ると。
「あ。お久しぶりです」
「.....和希さん?」
「はい。.....お兄さんの制服姿.....似合いますね」
「そういやお前に見せるの初めてだったな」
「そうですね」
和希さんが笑顔で立っていた。
そして俺達を見ながら目を丸くする。
理解した様に苦笑いを浮かべた。
モテモテですね、という感じで、だ。
「そうなんだよな.....でも鬱陶しい。どうしたものか」
「そんな事を言っちゃダメですよ。アハハ。夢ちゃんも本気ですから」
「.....まあそうだな」
そんな感じで俺達は笑う。
すると、ところでお兄さん、と言ってくる和希さん。
俺は?を浮かべて、どうしたんだ、と言うと。
紹介して無かったんですが私の姉が生徒会長選挙に出ます、と言う。
え!!!!?
「マジか!?」
「お姉さんって確か和奈(かずな)さんだよね?」
「そうだよ。夢ちゃん」
「凄いね。和希ちゃん」
「有難う御座います!春香さん。私じゃないですけどね」
姉が居るとは思わなかったんじゃね。
俺は考えながら、凄い話だな、と笑みを浮かべる。
すると和希さんは、私のお姉ちゃんです。世界を変えてくれますよ、とニコニコしながら話した。
「.....よりよい環境に、です」
「.....そうだな。花梨の分といいな」
「です」
俺達の知り合いはみんな花梨と鈴原の関係性を知った。
それからだろうけど結構なんだか丸くなった気がする.....。
みんなの鈴原に対する視線といい、だ。
それはそれで良かったのかも知れないと考えているがまあ.....何だろう。
複雑な心境だよな本当に。
何故か分からないが義妹は俺を小馬鹿にしてきます。幼馴染も俺を小馬鹿にしています。俺は今までの関係を断絶しました。そしたら.....。 アキノリ@pokkey11.1 @tanakasaburou
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