何故か分からないが義妹は俺を小馬鹿にしてきます。幼馴染も俺を小馬鹿にしています。俺は今までの関係を断絶しました。そしたら.....。

第22話 姉と妹という役柄

夢は複雑な面持ちで顔を上げて俺を見る。

そして、春香さんと色々な人達に意見を聞いてみたの。渚さん。鈴原の事と花梨のその関連性について、と言ってくる。

俺は！と思いながら夢を見る。

夢は、花梨は昔は真面目な鈴原と一緒に友達だったらしいよ。でも.....、と言い淀んでから顔を上げた。

「鈴原と花梨は仲違いしたらしい。大喧嘩して」

「.....ああ。それで傷があるのか。アイツの額に.....何だか風で髪が靡くと目立つしな」

「.....うん。でも花梨は悪い奴じゃないみたいなんだ」

「？.....どういう意味だ」

花梨はね鈴原への復讐がしたいのは事実だけど。

だけど真面目なんだ。

だから今の世界をどうにかしたいみたい、と言う夢。

俺は、それはつまりイジメのある現状を？、と聞くと夢は頷いた。

「.....また鈴原の説得の為に学校に転校して来たけど.....でもその目的の鈴原が居ない。なら目的を変更したみたいなんだ。取り敢えずは普通の学校生活を送るって言う目的にね」

「よくそこまで分かったな。どうなっているんだ」

「.....調べた結果かな」

「.....ああ。お前の和希ちゃんだっけ。友人と？」

「うん。彼女もよく協力してくれたの」

そうか、と思いながら考える。

成程な。

それだったら花梨が来た理由が分かった。

全ては鈴原への復讐って訳だな。

「それかまた説得を試みたいって所か」

「そうだね。渚さん」

「.....滅茶苦茶なこったな。それで俺の学校に転校して来るとは」

「女の執念って怖いんだよ？渚さん」

ふっふっふ、と笑う夢。

俺はその顔に苦笑しながら顔を引き攣らせる。

でもまあ冗談は置いて、と顔を上げた夢。

それから、そんな事をさせちゃ駄目だよね、と言う。

俺は頷いた。

「.....復讐は間違ってんな。特に.....喧嘩の復讐なら和平交渉するべきだ」

「だね。渚さん」

「ああ。だから取り敢えず花梨と話してみよう。アイツがどう考えているのか」

「.....そうだね。渚さん。それ大切かもね」

言いながら俺達は、うーん、と考える。

そしてポクポクとまるで一○さんの様な感じで考えてから。

そのまま俺達は独自の答えを出した。

それは.....花梨と取り敢えず大切な話をする。

そんな答えを、だ。

「渚さんは花梨をどう思うの？」

「俺か。俺は花梨の事はまだイマイチ苦手だわ」

「そうなんだね。まあ私もだけど.....でも苦手苦手で逃げても仕方が無いし。しかももしかしたら花梨とかの利用次第では渚さんの居場所を確保出来るかもしれないしね」

「あー。まあ確かにな」

「私は嫌いじゃないね。今の状況。利用するだけするから」

「お前悪いな。色々と」

散々な目に遭ったからね。私は嫌い。全てが。だけどまあ花梨ぐらいならマシかなって、と説明する夢。

俺は、まあ確かにな、と考える。

それから夢を改めて見る。

「渚さんの為なら鬼にでもなるから」　

有難い言葉だ。

だけど鬼にはなってほしくは無いな。

思いながら俺は夢を見る。

リビングに入ってから俺は飲み物を飲む。

そして溜息を吐いた。

「渚さんが居場所を取り戻してほしいからね。だからこそ頑張る」

「まあそうなるよな」

「うん。私はだから鬼にでもなるし。利用するべきものは利用させてもらう」

「悪どいが.....まあそれも大切だよな」

「渚さんは甘いよ。本当に」

でもそういう所が好きだけどね、と言う夢。

俺は苦笑しながら、そうか、と返事をしてからまた顎を撫でた。

どういう感じでこの先を進めるか？行くか、と思いながら考えながら。

「渚さん。花梨ととにかく話そう。それから決めよう」

「だな。確かにな」

それから俺達はそのまま納得しあい。

そのまま花梨と鈴原の関係を利用する事を考え始めた。

取り敢えずは居場所を取り返し。

成り行きを見守ろう。

そんな感じで。

「でもね」

「？」

「花梨が私を妹みたいって言ったのが衝撃だったかもしれない。私、動揺してる」

「そうなのか」　　　

「うん。だから.....駄目だ。心の.....難しいね。表現が.....難しいよ」

そう言いながら苦笑いを浮かべる夢。

俺はその姿に複雑な心境になる。

さて.....どうなる。

そう思うのだが。

「渚さん。私は貴方に出会えて幸せ。だけど私はどうしたら良いんだろうね。.....馬鹿だよね。本当に」

「そう思えないぞ。しかもお前の失う苦しみは分かるから。亡き人に似ているとか言われると動揺するよな。役柄もそうだけど」

「だね.....」

夢は眉を顰める。

まだ暫くは悩みそうな気がする。

サポートしてやらないとな。

夢を、俺が兄なのだから。

こういう時にどうするか。

そして今をどうするか。

しっかり考えないと。