第17話 鈴原のSNSと恋の話
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渚の家には久々に入った気がする。
何故なら私が悪いが.....拒絶されたから。
だから私は二度とこの家には来れないと自分で思っていた。
でも渚と同じ目線で。
渚の事を思って。
そして私は今.....渚の家に招かれた。
私は何とも愚かだったと思う。
「春香。お前にも協力してほしい」
「.....うん。大丈夫だけど.....でも鈴原.....アイツって戻るのかな」
「さあな。そこら辺は本人次第だが。.....だけど学級崩壊しているからな。だからまともに戻さないとな。そこら辺は」
「そうだね。私も南ちゃんも渚も通えないしね」
私は思いながら目の前の差し出されたお茶を飲む。
そして考えていると。
その。春香さん、と声がした。
私は顔を上げて夢ちゃんを見る。
「何?夢ちゃん」
「.....言っておきたいです。.....私、渚さんに告白しました」
「.....!」
「きっと春香さんも私と同じ想いですよね。だから私は.....貴方に言っておかなければいけないと思いました」
「そうなんだね。渚は返事をしなかった?」
「したけど考えさせてくれって感じだ」
ああ。そうなんだね、と答える私。
すると渚は、お前も俺が好きなんだな、と冷静に対応する。
私は、うん。そうだね、と反応した。
それから、でも私はそんな資格は無いから、と話す。
「.....冷静に考えておかしいから。私なんかが.....」
「お前は十分に社会的にも制裁を加えられていると思う。.....だから俺はお前を許すつもりだが」
「.....渚?.....え?良いの?」
「今の状況下で許さない方がおかしいだろ。でも十分に反省してくれ」
「.....」
だから好きなのかもしれないな。
私は渚が、だ。
心の底から渚が好きだ。
思いながら少しだけ赤くなる私。
その時にハッとした。
「そういや渚。.....それは良いけど.....鈴原の事に関してまた情報を入手したよ」
「?.....何の情報だ?」
「鈴原が君を振った理由」
「.....は?それはもう分かっているだろ。お前。.....だってアイツは」
「それには真相が別にあったんだよ」
私はその情報を知ってから。
鈴原の好感度が少しだけ上がった気がする。
今の状況は許せないにしても。
アイツはアイツなりの正義があったんだろうと思う。
「.....どういう.....意味だ?」
「渚。鈴原は.....貴方の身を守る為に振ったんじゃ無いかなって思うんだ」
「.....意味が分からない。どういう事だ.....」
「あくまで憶測だけど。渚。.....鈴原は不良グループと付き合いがあったの。それで貴方を巻き添えにしたくなくって振ったんじゃないかって憶測が有名になってるよ。あちこちで」
「鈴原だぞ?あの鈴原が?そんな馬鹿な!?」
夢ちゃんも愕然としている。
私はその中で、証拠も一応抑えてる、と写真を提示した。
それはSNSの写真。
そこには鈴原が不良グループに何か言われている様な。
付き合っている様な感じの写真では無いが。
何というか.....嫌がっている鈴原に不良が構っている様な写真がある。
それを提示したら渚も夢ちゃんも唖然としていた。
「.....嘘だろ」
「そんな事ってあるんだ.....」
「あくまでアイツは君を捨てたんじゃないと思うけど。こういうのを辞めたかったんだと思う。この不良の付き合いを。彼女は彼女なりに抵抗しているんじゃないかな」
だけどそれでも鈴原がやった事は全部許せない。
と言いながら複雑な顔を浮かべる私。
そして渚を見ると。
あの野郎、と眉を顰めていた。
私はその姿を見ながら、妹さんの為に辞めたい気持ちと辞めたくない気持ちがあるんだろうね、とも告げる。
「.....そんな気持ちの狭間に居るんだな。鈴原は」
「そうだね。彼女もそれなりに抵抗はしているみたいだしね。私は決して味方はしないけど.....でも彼女が争っているのはこの目でしかと見たから」
「面倒臭い。.....クソッタレだな」
悩む様に顎を撫でる渚。
私はその姿を見ながら慰める様に寄り添う夢ちゃんを見る。
夢ちゃんは、渚さん。悩んでも仕方が無いよ。今は今の事を考えよう、と言う。
私は頷きながら、渚。今は今だよ。.....鈴原なんてどうでも良いから今復帰する事だけを考えよう、と言う。
「.....私が好きな渚だから」
「お前な.....恥ずかしいんだが」
「この感情は本物だよね。.....うん。きっと」
「私も負けませんよ。春香さん」
「.....私も負けないよ」
こうして私は夢ちゃんとライバル同士になり。
恋のライバル同士になってから。
そのまま渚とは和解した。
取り敢えずは良かったと思う。
この先がどうなるかは分からないけど。
今を必死にもがこう。
生きていこう。
そう思える様な感じがした。
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