第16話 希望への道

俺は和希さんという夢の友達の人と一緒に喫茶店に移動した。

マスターのお店だ。

するとマスターは、おや?、的な感じで歓迎してくれた。

それから頭を下げる俺達。


「改めまして。.....私は飯場和希です」


「俺は最上渚だ」


「私は夢だね」


「お前まで自己紹介してどうする」


そんな感じでケラケラ笑う。

すると和希さんが少しだけ複雑な顔をする。

そして、やっぱり鈴原は嫌です、と否定した。

それは確かにな。


「.....アイツは嫌な奴だ。俺も嫌いだ」


「だね。渚さん」


「残念ながら変わりようは無いだろうな」


「確かにです」


和希さんは真剣な顔をする。

俺は今。

鈴原を到底許す事は出来ないだろう。

だけどそれが全てなのか?

俺は思いながら顎に手を添える。


「渚さんは甘い点があるけど。許す時じゃないよ」


「それは言えます。私からも。.....考えるべきは今の関係性じゃ無いです」


「ああ。分かってる。今は俺の将来を考えたいな」


「はい。.....私も協力します」


「当然だけど私もね」


「有難うな」


そして考えるとマスターがやって来た。

それから俺達に差し出してくる。

それはコーヒーだった。

俺達は顔を上げる。


「何かあったら相談して。みんな僕の家族だからね」


「マスターは相変わらずですね」


「まあ僕はボチボチの平常運転だよ」


「そうですかね?」


そしてマスターは3つのコーヒーを置いてからそのまま去って行く。

俺達は、あの。料金、と言うが。

マスターは、変わらず無料で良いよ。それは、と言ってくる。

その言葉に目を丸くしたのは和希さん。


「本当に良いんですか?」


「うん。全然大丈夫だよ。アハハ」


「ここのマスターは気まぐれで無料にするからね。和希ちゃん」


「えぇ!?良いのかな.....」


「そんな感じの人だから。俺も何というか気にはなっているけど」


そんな感じで俺達はマスターに感謝しながら。

そのまま俺達はまた話を再開した。

夢が、とにかく鈴原は.....今は対応が難しいと思う。

だから渚さん。今は私達の事を考えよう。

その後に鈴原の事を考えようよ、と言ってくる。


「妹さんにも協力を仰ごう」


「.....そうだな。取り敢えずは協力を仰ごう」


「妹さんとは話が出来るんですか?」


「そうだな。この前話してアドレスを交換した」


「アドレス交換もしたんだね」


「ああ。一応な」


それから俺がスマホを取り出した時。

いきなりメッセージが入った。

そこには鈴原の妹さんからメッセージが。

優樹菜さんである。

みんなでメッセージを見た。


(姉が.....ゴメンなさい。本当に姉のせいで.....)


(優樹菜さん。丁度話がしたかった。君と。良かった)


(お話.....ですか?)


(ああ。鈴原の事について)


(姉はもう救いようが無いです。何でこんな事ばかり)


優樹菜さんも呆れている様だが。

俺は、鈴原の事は諦めるだけが全てじゃ無いと思うからな。諦めるな、とメッセージを送った。

すると優樹菜さんは、はい、とメッセージを送ってくる。


(本当に申し訳ないです。ゴメンなさい)


(鈴原は帰ったのか)


(帰って来ました。何か動揺している様な感じでした)


(.....そうか)


俺は眉を顰める。

そして2人を見た。

2人は俺を見てきたまま考えている様だ。

その姿を見ながら、優樹菜さん。鈴原には説得を試みた。だから動揺しているんだと思う。君に会った事もな、とも。


(私に会った事を説得しただけで.....お姉ちゃんがそんなに動揺しているんですか?そんな.....私がやってもダメでした)


(アイツもアイツなりに変わろうとしているんじゃないかな。第三者が入らないと駄目な時もあるよ。こういうのはな)


(だから渚お兄さんの言葉で動揺したんですね)


(ただ今すぐに変わるってことは無いしな。.....取り敢えずは様子を見てくれ)


(.....はい。でも揺さぶりをかけてくれて有難う御座います)


これで少しだけでも鈴原が変われば良いと思うが。

俺の彼女だったしな仮にも。

だから性格が良いのはあるんだろうし。

悪いそこら辺を見抜けなかったのは俺の不甲斐なさだな。


(お姉ちゃんが来たのでここまでにしておきます。有難う御座います)


(ああ。じゃあな)


そして俺はメッセージを閉じた。

すると和希さんが、良い人ですね、と言ってくる。

鈴原とは正反対ですね、とも。

俺は頷きながら、そうだろ、と言う。


「何というか.....不思議だよな」


「.....そだね。渚さん」


「.....鈴原は変わるでしょうか」


「変わるかどうかは別だが。.....だけど多少はマシじゃないか。揺さぶったしな」


「鈴原が根っこですから。彼女が変わらないと周りも変わらないでしょうから」


「だな」


そして俺達は暫く会話をしてから。

そのまま自宅に帰ろうと思い歩いていると。

家の目の前に春香が立っていた。

それから踵を返して帰ろうとした春香と目が合う。


「春香さん?」


「どうしたんだ?」


「.....あ.....えっと.....その。渚と話がしたいって思ったんだけど.....でも帰ろうって思って.....」


「.....」


春香は、やっぱり帰るね、と言いながら帰ろうとする。

その姿に、待て、と言う俺。

そして、せっかく来たんなら部屋に入れよ、と話した。

すると春香は、でも良いの?、と言ってくる。


「良いんだよ。俺が言うから。それにお前とも話がしたい」


「え?何の話?」


「鈴原の事だ」


「!」


「.....良いか」


「.....そうだね。話そうか」


そして俺達は家の中に入ってから。

そのまま話が始まった。

で。

それだけでは無く。

恋バナも始まってしまった。

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