第8話 好きだからこそ

俺の事を支えてくれる夢に対して俺は.....何も言えないまま喫茶店で食事をしてからそのまま暫くくつろぎ。

家に帰ってから電話で両親に訳を話した。

それから結論から言って俺は暫く学校に行かない事になった。

1週間ぐらい、だ。


「その間が1週間も空くから暇だな」


「暇かもしれないけど大丈夫。私が楽しませる」


「.....何でそこまでしてくれるんだ?お前さん」


「だってそのぐらいしないと。お兄ちゃんには酷い事をしたから」


明日も学校行きたく無いぐらいだね。

私は.....お兄ちゃんの事が心配、と心配げな顔で言ってくる夢。

俺はそんな夢に、駄目だ。お前は学校に行かないと、と言い聞かせる。

すると夢は、うん。だね。お兄ちゃん、と納得した。


「.....でもお兄ちゃん。本当に.....ゴメン。ぶち殺したい気分なんだよね.....お兄ちゃんの元カノ」


「正直罠にハマったのは俺だ。だから何とも言えないが。少なくともブチ殺す真似はしないでくれ。何というか.....そう言いたいのは分かるけど」


俺はお前にはお前自身で居てほしいって願っているから、とも告げる。

すると夢は見開きながら、そっか、と言う。

そして俺を柔和に見てくる。

有難うお兄ちゃん、と言いながら。


「全ての責任はアイツだ。.....俺もお前らも傷を負いすぎた」


「絶対に許さない」


「その気持ちは有難いよ。本当にな」


言いながら夢は拳を握りながら涙を浮かべる。

目に滲ませる。

こんな事さえ無かったら良かったんだ、と言いながら。

俺は、そうだな、と言いながら棚を見る。


「.....お菓子食わないか」


「突然どうしたの?」


「怒っていても仕方がない。お茶タイムってしようぜ」


「.....暇だから?」


「ああ」


それから俺は夢を誘いながら。

ティーパーティーをした。

案外楽しい感じだ。

紅茶も淹れて.....であるが。

良かったと思う。


=====


私は渚を振った女に接触する為に近付く。

すると周りの女子達が直ぐに私に向いてきた。

それから睨んでくる。

やはり守護は激しいか、と思う。


「何?アンタ。確か山部だよね?」


「そうだけど。.....一つだけお願いがあるんだけど」


「えぇ?お願い?どうしようか」


「.....」


こうやってはぐらかし。

直ぐに男子軍勢に頼るゴミクズ。

私は心底だが怒りが湧いた。

勿論私のした事は完全には取り消せないが。

今は渚の居場所を確保したい。


「渚を虐めるのだけは止めて。お願い」


「.....嫌に決まっているでしょ。アイツが何したか知っているの?」


「それは貴方が浮気したから!」


「そんな証拠が何処に?」


ヘラヘラしながら私に言ってくる女。

言葉のキャッチボールが上手くいかないとはこの事だろう。

私はキレそうになった。


そして思いっきり睨みながらそのまま踵を返す。

それから去って行く。

すると男子からこう言われた。


「あー。山部。お前。あまりフザケていると鈴原さんに迷惑掛かるから」


「.....」


ゲラゲラ笑うリア充ども。

私は涙を浮かべて南ちゃんの元に戻る。

それから、私は頑張ったよね、と言ってみる。

南ちゃんは私を抱き締めてくれた。

そして頭を撫でてくれる。


「どうしようもない。アイツは全てを支配しているから。証拠を集めて崩すしかない。足場をね」


「そうだね.....その間は.....渚が来れないよね.....」


高校でまさかこんな目に遭うなんて。

小学校時代からの付き合いなのに.....中学までは順風満帆だった。

だけど全てが崩れてしまう。

馬鹿だと思う。

私が渚を好きなだけで。

全てが崩れた。


「渚くんが好きなんだよね。春香」


「うん。心から好き」


「.....だったら徹底的にやらないとね」


「絶対にあの女は許せない。.....私は.....こんな暴力認めない」


言いながら私は縋って泣く。

それから涙を拭った。

間だ。


全てが間だと思う。

私が悪いんだ。

だけど.....それでも戦わなくてはならない事が目の前にある。

私が罪滅ぼしも兼ねてやらなければならない事が。


もう一度渚が学校に来れる様に。

邪魔なものは一掃しなければいけないだろう。

私は思いながら唇を噛んだ。

だがその翌日。

予想外の事態が発生する。


それは。


私に、南ちゃんに。

いじめが発生し始めたのである。

我慢ならず担任に相談しようと思い。

私達は職員室に向かった。

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