第16話
洞窟を出ると漆喰で作られた大き目の平家が十何件か見え間隔も広い、家々を囲むように岩肌がむき出しになった崖が周りを囲っている。二階建ての家位の高さがあるので遠目に見ればここに何があるか判らないだろう。
「おっと、自己紹介がまだだったなおれっちはバナナク、袋奥(タイオウ)の生まれなんだぜ」
左手で日の光を遮りながら振り向く、手を引かれながら見上げた姿はやんちゃ系王子様かよと思い
「……、俺の名前はヒロシ詳しいことは覚えてないんだ」
女の子だったら絵になったかと別の事を考えていた
「そうか……、解ったアレを見に行こう」
何が解ったのか解らないが無いやら自慢げな顔に不安を覚えたのも束の間腕をつかまれたまま足りだした
「ビコウと言えばココ、塩田……、ヒロシくん大丈夫?」
とバナナクは言うが、俺の方はボロボロで腕がちぎれなかったのが不思議だった、大した距離は走っていない筈だが足が当たったら重症だったと思う。
「大丈夫じゃないです、自分で歩きますので……、大丈夫です」
言ってて妙に感じるが最初に大丈夫と言ってしまっては次の目的地まで引き回しの刑になりかねない。
「おぉぅ」
手を放してもらい砂地にぐったりと倒れ込むが
熱い
日中の砂浜は熱い、火傷しないにしても素足で歩きたくはない上に全裸といって差し支えない状態ではツライ、踊るように立ち上がった様子がおかしかったのかバナナクが笑っている
「ヒロシ君面白いっすね、これは先に靴や服の方が先なのでこっちですわ」
そういって一人でまた駆け出した、人の足の速さに合わせて欲しいと思った
塩田から見える家より大きな建物なのでさほど苦労はなく、町も半径百メートル位と小さい村の規模の様だ、家々の間隔が広いのも彼らが生活しやすいからと思えば納得がいく。
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