第15話

「やはり、ヒロシ殿は折り紙付きなのですねぇ」

 酋長は微笑んで答えると

「マサツグ様、これから俺はコウノトリに会ってみたいと思いますが出来ますでしょうか」

 まずは、会ってみないとと思いコウノトリについて尋ねたが

「ヒロシ殿、コウノトリは一年に一度しか来ないので一年間我らと過ごすか、各地を回ることになるねぇ……、どうする?」

 少し上目遣いで尋ねてくる、もしかして誘っているのだろうか

「ヒロシさん、母上は父に先立たれて早五年、一年ほど番として生活したいのかもしれません」

 バルクは頷きながら話してくるが、良いのかバルクお前の母親だぞと思い、酋長を見ると満更でもないらしい、

「わかりました、急いでどうにかなるわけでは無さそうなので明日の朝まで考えさせて貰っても良いでしょうか」

 そう答えると、酋長は少し残念な顔をしたかと思うと

「解りました、明日の昼にはバルクに迎えに行かせるのでそれまでゆっくりお考え下さい」

 少し違和感を覚えたものの、酋長が立ち上がり

「皆の者、そろそろ家に帰り新しい家族の準備を、そうで無い者は撤収にかかれ……、では明日」

 最後につぶやく様に言うと何事も無かったように何処かへ行ってしまった。

「説明が無くて済まない、ヒロシさんは朝起きた所に泊まってもらおうと思います」

 バルクが少し困った顔で話しかける

「まだ昼なので、町を見て回っても構わないのですが……」

 言い淀んだ視線の先には、今朝方あったマリと一回り小さい子供がいた

「おーい、バナナクさ~ん」

 子供に目が言っている内にバルクが一人の馬人族を呼ぶと返事とともにやってきた

「あー、バルクという事はアレか」

 バナナクは俺のほうを見ると察したように

「昨日の兄さんに町の中を案内しろという事だろ、最初の子供だもんな大丈夫わかってる」

言うや否や俺の腕を取り洞窟の外へ歩き出した、バルクは何か言いたそうだったがマリに捕まってしまった。

 



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