第14話

 目標とは目的を達成させるための手段である


「はい、質問ですが目的ではなく目標と書いてあるのですか?」

 癖というより習慣として手を挙げて聞いてしまう

「バルク、紙」

 そう言って手をバルクに突き出し要求するとサッと髪を酋長に渡す

「目標って書いてあるねぇ、見るかい?」

 こちらに顔を向けて紙を渡そうとすると

「ちょっ、母上先ほど皆に言った事お忘れではないでしょうか?」

 慌ててバルクが止めに入る

「でもこれ普通の内容なんだけどねぇ」

 紙を手元に戻しバルクを見上げる

「母上、ここは一度許可を求めるべきです」

 確かに秘密にしておきたい場合もあるのだろう、そういう所は大事だ

「バルク、紙見せちゃダメ?マリには後で説得するから」

 訴える様にバルクを見上げる酋長に威厳は全く感じられなかった

「母上、マリには事前に許可を取ってあります見せても大丈夫ですよ」

 七歳とは思えないほどイケメンで出来る回答に関心たが

「え、じゃぁ普通に見せてよかったじゃんはいこれ」

 少し怒り気味な態度と、酋長の威厳が損なわれた瞬間を目の当たりにして手紙を取り思った


 最初に出会った頃のかっこいい酋長返して


 そう思い紙を開くと普通に日本語で書かれていて内容は


性別:男 父:バルク七歳 母:マリ八歳

目標:壱、父母より長生きする。


 紙の大きさに比べると余白が多く壱という文字があるのは場合によって多いという事なのだろう、そして最も気になるのはこの紙が見慣れたA四普通紙で印刷されたものであるという事だ。

 「ヒロシ殿、その紙はコウノトリだけが持ってくる特別なもので文字も同じように書く事が出来なくてねぇ……、何か思い出せそう?」

 やや前のめりで尋ねられる

「はい、何か思い出せそうです」

 見慣れたコピー用紙を見た嬉しさで切れよく答えた。


 



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