第10話

 服あるじゃん


 少しゴワゴワする上着を着て相変わらず下半身丸出しで、

「すいません、下に履くものはないんですか?」

 とバルクに聞いてみるが、

「そういえば、只人族はこっちでも下履くのですよね」

 どうやら俺の様なタイプの人は只人族というらしい、そして服は着る物らしい

「それと、どうして最初俺にあったとき何も着て無かったのですか?」

 バルクはにこやかに答えた

「我々馬人族は、暖かい所では服を着ないと言うのもありますが、対話する相手の服装に合わせると言う風習があるんですよ」

 つまり、俺が最初裸だったためそれに合わせて裸だったという事で……

「それに、マリの帰りが遅い気がしたのでもしかしたらコウノトリが来るのかもしれません」

 という事かと聞いて気付いてしまう

「ちょっと待ってください、下履いてない俺が行くのはまずくないですか?」

 バルクはハッとしたような顔をして

「まずいですね……、ですが私も行かねばなりませんので……」

 バルクは家の中を見渡して、

「入口の脇に水瓶がありますので自由に飲んでかまいませんので暫くここでくつろいでてください、それでは」

 いうや否や駆け出して行ってしまった


 置いて行かれる形になった俺の心は肘丈しかない上着の様に心もとなかった。


 仕方が無いとするも、かなり長い間水どころか何も食べて無いので水を飲む、そして食べ物が無いかと思い家の中を少し物色してしまう。

 建物はやや黒ずんではいるもののおそらく漆喰で出来ている様で、ヒビや補修痕もあまり無いことから地震等の災害は無いのだろうと思う。

 窯や調理道具の様な物もあったが食料は何処にも無かった、灰の残りカスはあるものの奇麗に掃除されている、料理はして居る様だ。


 でも食い物は無かった。

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