第8話
人の気配で目を覚ますも相変わらず砂の床で寝たふりをする、よく考えてみればこの場所に運ばれたとして陰茎どころか排泄口の無い人間が普通の人間として扱われるとは思えない、場合によっては人ならざる者に拾われた可能性もある。
「もし、もしもし」
体を揺さぶられる、しかも女性の声だが少し声が遠い気がする
「う~ん……」
俺は寝ぼけたふりで薄目を開けて声のする方を見ようとしたが、少し目に入ったとところで飛び起きてしまった。
俺を起してくれたのは、黒い髪黒い目そこそこ整った顔立ち上半身裸、そして何より腰から下が馬のケンタウロスだったからだ。
驚いて叫ぼうと思ったらのどが渇いてるせいか少し大げさにむせ混んでしまう。
「大丈夫ですか?」
彼女は優しく声をかけ覗き込んでくるが、逆光が影響してなのかすごく怖く見えて呼吸困難に陥りそうになると、彼女は距離をとると
「ハッハッハ、もしかしてビビらせちまったんじゃないのか?」
かなりイケメンな声がする方を見ると、どうやらもう一人ケンタウロスが居る様だ。彼女は彼のほうへ向かい何やら痴話げんかを始めたようだ。
彼らが話をしている内に俺は呼吸や枯れたのどを整えて、
「あのぅ、すいません」
二人は我が話しかけた事に気づいて、
「おや、もう大丈夫かい?」
彼の方が話しかけてくる、よく見ると彼も黒髪黒目全裸のケンタウロスの様だ
「ええ、まぁ……、それとですね……。ここはどこなのでしょうか?」
「ここは東夏(トウカ)の尾甲(ビコウ)よ」
彼女が割って入る様に答えると、彼は頷いて
「それで君はどこの……、」
と言いかけて言い直す
「僕の名はバルク、彼女はマリ。そして君はどこの何という人かな?」
イケメンで悪者ではなさそうなケンタウロスの青年に正直に答えそうになったが、
「すいません、実は記憶が曖昧でよく思い出せないんです」
と当たり障りなく返すのが精いっぱいだった。
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