出来た。


     正解を選べ!!


 ゥゥゥゥゥゥ。ゥゥゥゥゥゥ。

 オンギャー!ホンギャー!


 画面にはボロボロの家屋があり、その中にはとても寒がっている親子がいる。母とその子供だろう。

 そしてその前には選択肢が置かれていた。


      暖炉← 毛布


 おそらくどちらが選ぶんだろう。

 そして何処からか指が現れタップしていく。


      暖炉   毛布←


 選んだのは毛布。

 その毛布が親子を包み暖かそうにしていたが、穴が空いた窓から流れた風が、その毛布を吹き飛ばしていく。

 そして画面には大きく[Miss]の文字が。

 と、ここでスキップが出来るようになった。



 ーーーーーーーーーーーーー



「そういうことか。選んでいけと?」


 広告をスキップすると、俺の目の前には先ほどと同じように選択肢が現れる。

 今回は『木の壁』と『ただの木材』。

 まぁ、当然…。

「木の壁に決まってるよね。……うぉっ!?」


『木の壁』を選択すると、俺の目の前の壁が次々と木で埋められていく。

 これには驚いた。まるで画面を逆再生しているかのように埋まっていったからだ。


 完全に壁の穴が埋められると、今度は違う選択肢が現れる。

『ほうき』と『掃除機』という選択肢から恐らく床の破片を片付けろという事だろう。

 まぁ、ここは…。

「ほうき…?いや、掃除機かな。」


 俺の目の前に現れた掃除機は一人でに動き出して、木の破片や硝子片を片づけていく。…と、ここまでは順調に片付けられていた。だが、あともう少しというところで掃除機が変な音を立て出した。


「………ん?え、ちょ!ちょっと、待って!!うぐぅお!!」


 俺が変な音を立てているのに気づいたその瞬間、掃除機は光っていき最終的には大きな音を立てて破裂した。

 溜め込んだ破片とともに…。


「いっでぇ…!!…いや、なんだ。痛くない。でも破片は散らばってるしな…。って、あ!!壁が、元の穴だらけになってる…!」

「何だい!騒々しい!!…きゃあ!?私の家が!!……アンタ何してんだい!?」


 俺が痛みがないのに不思議がっていると、轟音に気づいたおばさんが俺の元へやってくる。

 そして部屋の惨状に気付いたおばさんは、怒り心頭といった様子で詰め寄ってきた。


「あ!いや、すぐに!すぐに直しますんでッ!!えっと、また『木の壁』選んで…、今度は『ほうき』…!ほら、これで元通りです!」

 俺は慌てて先程と同じ『木の壁』を選び、そして今度は間違えないように『ほうき』を選ぶ。


 するとほうきが現れて、破片を穴から外に出していく。全て出し終えると、今度は壁が埋まっていった。

 そして、内装と壁は完全に元通りになったようだ。


「すんません!魔法が、暴走しちゃって…!でも、ほら今度は失敗しませんでした!!」

「うーん、まぁ直してくれたなら…。あんた、怪我はないのかい?」

「はい、バッチリです!」

 おばさんに頭を下げて、依頼完了の印をもらうと、残りの四軒も同様の方法で修繕した。


 少しバタついたが俺の初依頼は、こうして無事に終わることができたのだった。

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