修理した。



「さて、ここかな…?すいませーん!ギルドの依頼を受けて来たんですけどー!!」

 俺は今、ギルドとは少し離れたところにあるある家の前まで来ている。

 民家五軒の修理依頼、その一つ目だ。


「はーいよー。ちょっと待ちなー!…あら!?アンタ、あの時の!」

「あ、店の人だ。」

「あんた、あの後は銀行行けたのかい?」

「はい、行けました。あの時教えてもらったおかげです。」

「そうかい、そうかい!」

 なんと家から出て来たのは、あの時の美味しい肉を売っていた店のおばさんだった。

 彼女は俺が銀行に行けた事を知ると、笑って俺の肩を叩いてくる。地味に痛い。


「あの、依頼の方を…。」

「あぁ!そうだったね、あのね…。」


 おばさんが言うには、ある日家の壁を突き破って男の人が吹き飛んできたそうだ。

 その男の人は区兵に連行されたようだが、壁はそのまま。弁償してもらおうにもその区兵は男を連れて出ていったっきりだという。


「…ほんと、ムカつくやつよ!区兵もわたしにはなーんの説明もなしに、男を連れて出ていっちゃってさ!!今度見つけたらタダじゃおかないわ!アンタもそう思うでしょ!?」

「あー、はい。それは大変ですねぇ…。」

「それでね、ここなんだけどさ!」


 おばさんは怒った様子で家の奥へと案内してくれた。

 そこは少し破片などは片づけられていたのだが、壁には大きく穴が開いていて裏の路地が丸見えになっていた。

 確かにこれが放置となると怒る気持ちも分からなくはない。


「ここをね、修理してほしいのさ!」

「はい、分かりました…!」

「じゃあ、頼んだよ。私は向こうに行ってるから終わったら呼んどくれ。」

 そう言って、おばさんは別の部屋へと歩いていった。後ろ姿でも怒っているのが丸わかりだ。


 さて…。

「どう、しよっかなぁ…。」


 俺は俺でとても困り果てていた。

 この規模の修理だとは思わなかった。少し穴が空いていて、その穴を木材か何かで埋めるようなものだと思っていたからだ。


「これは、木材がどのくらいいるやつなんだろうか…。そもそも、木材ってどこに売ってるんだろ。……これは、早々に詰んだか?あ!こんな時は…!」


 ギルドの案内ガイド〜。

 これを読んだらクエストのコツとかないだろうか。えっと…?

「修繕魔法を使いましょう。…修繕魔法?魔力ねぇじゃん、俺。………あ、詰んだ。」


 そう思った時俺の脳内にあの言葉が浮かび上がって来た。

「[広告ガチャ]発動…?いや、いけるのか。これ。」



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