スキルが出た。



俺は今、通行人の方から教えてもらったギルドの場所へと向かっている。

と言っても、周りより高い建物を目指せと言っていた通りに進んでいる為、目的のギルドにはすぐに着いた。

たしかに、高い建物だ。それに何処か風格も漂っている。


だが、その前にやることがある。

「武器とか防具を揃えないとなぁ。ヒロキが言ってたっけ、テンプレ通りだとギルドに入った途端に、チンピラ冒険者に絡まれるって。」


そう、俺は今ギルドの向かいにあった武器屋らしき建物の前にいる。

まぁ、看板に剣と防具の絵が描かれているからここは武器屋なのだろう。


中にはわざと絡まれる転生者もいるみたいだけど、俺はそんな揉め事やだし。まずはここで見た目だけでも強くなろうという魂胆だ。


「…失礼しまーす。」

「らっしゃい…。」

「あの、ここって武器屋であってますよね?」

「あ?見たら分かるだろ!それ以外何に見えるってんだ!!畜生め!」


なんか武器屋のおじさんに怒られてしまった。

これもヒロキが言ってたな。武器屋のおじさんは怒りっぽいって。


「あの、冒険者になろうと思うんですけど。何かおすすめの武器とかありますか?」

「あ?そんなもん、ワシの作ったやつは全て最高峰なもんだ!冷やかしならぇれ!」

「すぃません。でも、ちょっと冒険者になりたいんで、見させていただきます。」

「ふん、勝手にしやがれ!畜生め!」

そう言いながら、おじさんは何かの作業を始める。見た感じ、防具を作っているのだろうか。


…なんか、むかついて来たな。

なんで、こんな言われなきゃいけないんだろ。

そんな気持ちが芽生え始めたが、ここで怒ってもしょうがない。俺は大人だ。

素直に武器を見ることにする。


「……んー。何が良いんだろ。片手剣と大剣。これは太刀かな?あとは鞭に、…グローブ?こんなのもあるのか。」

「…ブツブツうるせぇな!!そんなに見たって手前にはわかんねぇよ!畜生め!」

「……。あの、別に良くないですか?こっちも真剣に見てるんですよ。武器や防具って冒険者の要でしょ?選ぶのに失敗したら、俺が危険なんですよ。」

(やっべ!だが、言ってしまったものはしょうがない。それに我慢できない。てか向こうじゃこんなに短気じゃなかったはずなんだけど。)

俺がそう考えていると、案の定オッサンは怒り出した。


「なんだと、てめぇ!なら、見極めてみろよ、畜生め!もし出来たら、タダにしてやるよ!畜生め!!」

「なっ、言ったな!分かった!じゃあ俺が良いの見つけたら、タダだからな!?」

「上等だァッ!畜生め!」


なんだ、あの人。

だが、俺も勢いで言ってしまったが、さっぱり分からない。

悩んでいる俺を面白そうに、半分は嘲りも入ってるが。ジロジロとオッサンは見てくる。


そう考えていると、ゴブリン戦の時の様に俺の頭にスキルの文字が浮かんでくる。

「まさか、いや。…[広告ガチャ]発動。」


その瞬間、あの時の画面が俺の眼前に浮かんでくる。


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