別れた。


「じゃあ、頑張るんだぞ?ギルドに行くなら粗暴な輩も多いからな。まぁ、冒険者ってのは元来そういうものだが。」

「だな、まぁ魔物を殺す仕事をしている者が多い。それだけで心は荒んでくるものだ。それに、舐められたら終わりというのが冒険者の常識だ。そのため先に喧嘩を売ってくるのが多い。少年は少し弱々しい見た目をしているからな、色々と準備してから行った方がいいかもしれないぞ。」

「うん、ありがと。二人も頑張れよ?」

あれから、俺たちは別れることにした。


俺は言った通り冒険者に。

彼らは少し寄るところがあるという。

まぁ、森で助けてくれた関係なだけだ。それに俺も冒険者になるということはいつか会える日がくるだろうな。


そう思いながら俺はギルドがあると教えられた道へと歩き始める。

そんな俺にテイルは慌てて声をかけてきた。


「あっ、待て。……ほらこれ。俺たちからの餞別だ。持っていけ。」

そう言って、ミールさんから何か袋を受け取ると、俺に向かって寄越してきた。


「…っと、え?これって。…何?コイン?」

袋の中身を覗くと、ゲームでよく見る様な金色に光るコインが十枚ほど入っていた。

ていうか、これって…。


「まさか、金貨ってやつか?」

「おぉ、よく分かったな。そう、金貨。この世界のお金だ。」

「いや、え!多分、これってすごい価値のあるもんだよな!?」

「そうだ、確か…。」

「平民が一年は遊べるほどのものかと。」

「あぁ、そうだった。」

ミールさんがそう言うと、テイルは思い出したかの様に頷いていた。


「え、いや。」

「貰っといてくれ。それに何かと金は入り用だろ?」

「いや、でも…。」

「君は向こうに早く帰りたいんだろう。なら、武器や防具を買って、早く冒険者になる。そして人々を助けるんだ。それに大丈夫、俺は君に憧れられるくらいのすごい冒険者だからな。そのくらいはすぐに稼げる。」


「…ありがとう。絶対にこれくらい稼げるようになるから。だから、その時になったら二人に返しに行くよ。」


「フッ、なら待ってるよ。大丈夫、ユウヒなら強くなれる。だから早く返しにきてくれよ?返しに来ないとタダじゃ済まさないからな〜?」


「少年よ、君なら大丈夫だ。まぁ、無理だと思ったならいくらでも道はある。決して冒険者という道だけではないのだ。それこそ、私と同じ騎士団に入ってもいい。そうしたらテイル様といつでも会えることもできるしな?」


「ありがとう。テイル、すぐに返しに行くよ。ミールさん、出来れば騎士にはなりたくないかな?すごく大変そうだ。」

「冒険者も厳しいぜ?」

「テイルも出来てるんだから、俺でも出来るよ。」

「おい。」

「冗談。……ふふっ、じゃあな?また会えたら、どこかで。」


「おう、頑張れ。」

「少年よ、達者でな。」


「二人もな。」



こうして、俺は二人と別れた。

早く冒険者になって強くならないとな。

その為に、まずは…。

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