説明を受けた。
門をくぐった先に見た光景を俺は一生忘れることはないだろう。
テレビで見たことある様な、海外の独特の雰囲気というか。
市場が並んでいて、そこには活気のある人々。店の人が売っているのは、向こうでは見たこともないようなもので機械的と言うか魔法的と言うか。そんな様なものだ。
そして、中心に聳える大きな大きな城だった。
「さぁ、ユウヒ。ここが王都だ。…フッ、少し刺激的だったか?」
「…いや、なんというか。刺激的というか、とても圧倒されて……、言葉が見つからない。あれが王城なのか?」
俺が聞くと、テイルとミールさんは頷いた。
「さて、それでここで別れるんだったよな。」
「あぁ、もうここらで十分だよ。」
「そうは言うが、本当に大丈夫か?この世界に来たばっかで、何も分からないだろ?」
そう言ったテイルは心配そうに俺のことを見つめてくる。
けど、こんなに助けてもらってばっかりで申し訳なくも思うし。
それに…、俺はゲームでも何でも、こういうものは事前情報なしの手探り状態でやりたい派なんだ。
「そうだぞ、少年。ここは王都。冒険者も多く、少し裏に入ると何があるか分からないものだ。」
「ミールの言う通りだ。危険も多いぜ?それに、まだ何をやるか聞いていないしな。旅の資金はどうやって集める?」
「あー…それに関してはさ。」
俺が少し言い淀むんだが、前々から考えていたことを話すことにする。
「ここってさ、ギルドはあるか?あの、冒険者組合みたいな別の言い方もあるみたいなんだけど。」
「ギルドか?それならある。俺とミールはそこに所属してパーティを組んでいるんだからな。詳しいぞ?」
「あれか?その、魔物の討伐とか採取とか街の人の困りごとを解決する。みたいな依頼を受けてってことだよな?冒険者の活動って。」
「あぁ、そうだ。よく知っているな?あぁ、友達に聞いたと言ってたな。」
ミールさんが驚いた感じで聞いてきたが、すぐに納得した様に頷いていた。
すると、テイルが興味深そうに俺に話しかけてくる。
「まさか、冒険者になろうっていうのか?」
「うん、出来ればなりたいなって思う。」
「……ユウヒは、冒険者に向いてないと思う。森でゴブリンを倒したことはすごいと思うが、それはスキルの力で倒したんだろ?冒険者には、それ以外の膂力や知識や胆力。他にも様々なものが必要になるんだ。君にはその全てが揃っていない。」
テイルは、言いにくそうにしていたが、ハッキリと俺は冒険者に向いていないと言ってくる。
「…言いたくはないが、私もテイル様の意見と同じだ。確かに少年は旅をしなければならない。それに冒険者は人を救う職業、使命を果たすのに近道になることは確かだ。だが、他にも道はあるぞ?商人、経営者、店員、受付、荷物持ち、雑用係……。他にも様々な人の助けとなる様な道はある。」
ミールさんも同意見の様で俺に他の道を提示してきた。
でも、俺は…。
「ごめん。何を言われても、帰る気はないよ。俺は冒険者になりたい。」
「…なぜだ?ユウヒ。どうしてそこまで冒険者になろうとする?冒険者は危険な職業だぞ。」
「うん、あのさ…。」
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