魔王になった。
「話を戻そう。そうして生まれた魔物たちは、ある一つの考えに支配されたんだ。"私たちをこんな姿にした人族に、罰を"という考えにな?そして、それに狂わされた魔物たちは欲望のままに国へと侵攻してきたよ。ただ、人族もただでは終わらない。残った数少ない精鋭達がその侵攻を命からがら食い止めてくれたんだ。その中に俺の父親もいたと聞いている。」
「テイルのお父さんが…!?」
「成人の儀を迎え、スキルを授かることができた父さんは、先々代の王の命により防衛戦の指揮をとったらしい。そうして、幾度かの侵攻を止めた頃。ある日、魔物が我々を襲って来なくなった。何かに引っ張られるようにその活動を停止したんだ。そのことに気づいた民衆達は、それはもうだ 歓喜したらしい。国とも呼べないような、テントが立ち並ぶ場所で抱き合って大いに喜んだ。」
「え?…それで、終わったのか?」
「いや?終わる訳がない。暫くすると、また魔物たちの侵攻は再開された。だが、何度かそれが起こると、前と同じように止む。そんな光景が繰り返された。それをおかしいと思った父上達は、調査に乗り出した。魔物はどこから出て来て、どこへ帰っていくのか。そして、なぜ侵攻は止むのか。その調査にな。…そして、見つけたんだ。」
「見つけた…?」
「あぁ、"魔王"をな?」
ーーーーーーーーーーーー
『あれは、何だ?』
調査隊が向かったのは、共和国跡地。
そこから魔物達が出現しているという結論になった我々は、国を飛び出したどり着いた。
道中、様々な魔物が現れ、それは跡地に近づくたびに種類を、そして苛烈さを増す。まるで近づくものを排除しようしているようだ。
そして、我々は共和国跡地へと辿り着く。
そこで目にしたものは、魔物達が円を囲うようにして、跡地に屯している姿。そして、その中心部には。
『済まナい…!スマぬ…!我、は…!魔、魔、ま、魔。もー。ノノノノノ。…………済マない、済すまナイ。』
『まさか、あれはキールか…?』
『キール、ということは!!』
『あぁ、共和国を纏めていた人物。共和国大隊長"キール・アリシラー"だ。』
彼はのちに、最悪の魔王と呼ばれる様になる人物、キール・アリシラーだった。
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「だが、その姿は生前とは違っていて、身体の各所が魔物の様に変質していたらしい。そしてうわごとの様に懺悔の言葉を発していた。それは遠くから見ていた調査隊にも影響を及ぼし、自然と涙が出てきた。そう父は言っていたよ。」
「そいつが、魔王?…でも、魔王は現象や災害の類だって。」
「あぁ、そうだ。……国へと戻った調査隊は王に報告。それを魔王と名づけ、討伐を開始した。だが、その前にあることが起こった。それは…。」
「…それは?」
「女神様が、神託を授けてこられたらしい。巫女ではなく、父上達に直接ね?」
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