魔物になった。
「魔王は、現象だと言ったな?災害だと。」
「う、うん。」
「それが起こった原因は、共和国と他種族による魔術の暴走と言われていたんだ。」
「暴走…?」
ーーーーーーーーーーーー
残った数少ない共和国の人間と魔族たちは、ある邪法に手を出した。それは危険すぎるということから国家間で封印されたものだ。
それは、自身の命を引き換えに死者に数刻の命を与えるというもの。
建物の残骸が積み重なった、共和国跡地。
その残骸の下には、地下への入り口が隠されていた。そして、その地下では…。
『……もう、これしか方法がない。』
『しかし、これは…!』
『仕方がないだろう!?もう、これしかあやつらに一死報いる方法はないぞ!!お主ら、ワシに命を…預けて、くれないか?』
『カマワナイ。ソレデシカ、アイツラヲ殺セナインダロウ…?ソノタメナラ…、コンナ命ナド要ラナイ!』
ゴブリンと呼ばれる種族。
その長であるゴブリンキングが、憎々しげに呟いた。
『そうよ、私たちも構わないわ。あいつら、私たちが人と違うからと…!!何が人族至上主義よ!?巫山戯るナァッッ!!!』
吸血鬼の長である女性が、叫んだ。その目からは涙が流れている。
その言葉に呼応するように、地下に集まったあらゆる種族が雄叫びを上げる。
『済まない、皆の者!……必ずや、あの悪魔どもに報いを与えてやろう!!』
『なんや、おもろい話しとんなぁ…?』
ーーーーーーーーーーーー
「そして、魔術は発動した。だが、不完全な形で発動してしまった。その結果、魔術は暴走。ありとあらゆる命と骸を呑み込んだ。それは共和国の者たちだけには留まらず、他の三国や動物たちが住まう森、隠れ住んでいた他種族にまで広がっていった。そして、その魔術は教国を呑み込んだところで活動を止めたんだ。」
「じゃあ、教国と共和国はもうないのか?」
そう尋ねると、テイルは重々しく頷いた。
「暴走した魔術は、死者に命を与えるという効果を歪め、ある効果へと変質した。」
「ある、効果…?」
「あぁ。………その魔術に呑み込まれたものたちを、魔物へ変えるというものだ。そして、その魔術に呑み込まれた共和国の生き残りや教国の民たちは、魔物に変わったんだ。」
「なっ…!?そんな、じゃあ俺が倒したゴブリンって…。」
「あぁ、いや、あいつらは魔王を倒した後も生き残った魔物たちが、繁殖したことにより生まれた。いわゆる、子孫のようなもの。だが、その子孫は魔物として生まれたもの。別に生き残りなどではないよ。」
「そうか、良かった…。いや、良くないか。だって、昔の他種族たちは魔物に変わったんだもんな?」
俺がそう言うと、テイルは頷いて話の続きをし出した。
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