戦争になった。



 昔々、人々は王国・帝国・共和国・教国。

 この四つの国に分かれていた。

 其の内の三国、王国・帝国・教国は人族至上主義という考えに、支配されていた。


 魔法を上手く扱えるのは人族だけ。

 武器を上手く扱えるのは人族だけ。

 相手と対話が出来るのは人族だけ。

 日々を楽しく生活できてるのは人族だけ。

 女神様に見守られているのは人族だけ。


 そんな考えに。




「共和国は、人と他の種族が上手く共存できていた。その他の三国にも他種族は居たには居たが、人族至上主義によって多くの者が虐げられていたんだとさ。」


「…女神は、何も言わなかったのか?」


「……警告はしていたそうだ。だが、女神様はこの世界に干渉できず、声を届けることしかできない。だが、女神様の言葉を聞けるのは巫女と呼ばれる者だけ。しかし、その巫女は人族至上主義だ。女神様の言葉は歪めて伝えられていたと…、それを国民たちが知ったのはもうちょっと後のことだった。」



 そして、それから時は経ち。

 変わらず、共和国にいる他種族以外のものは虐げられていた。

 そんな中、新たに届いた女神の声を聞いた巫女が、王にこう伝えて来たらしい。


『魔族が!!我々に対して武器を取り、そして人族に大きな災いが降りかかると…!!!』


 その言葉は瞬く間に国に広がり、そして、三国の人族以外のものは処刑された。



「処刑…!?そんな、巫女の言葉だけで!!」


「あぁ、おかしいだろ。事実、王様も逆らえなかったらしいぞ?まぁ、巫女の言葉は敬愛する女神様の言葉だ。巫女に逆らうとは、それ即ち女神様に逆らうということ。誰もが巫女を信じた。女神様が人族を愛してくれてる、他種族など塵芥に等しい、虐げて構わないってな。」



 そして、三国からは一切の他種族が消えた。

 ある者は処刑され、ある者は共和国に逃げ込んだからだ。

 ただ、悲劇はそこで終わらなかった。

 三国が同盟を組み、共和国へと攻め入ったんだよ。



「正直、国同士は仲が悪かったそうだが、他種族という一つの敵が出来たことで仲良く手を取り合ったらしい。皮肉にもな?そして、共和国は滅んだんだ。」


「…そんな!」


「他種族はもちろん、それを匿ったとされる共和国の人間も、穢れを払うという名目で根絶やしにされた。人族至上主義なんてものを掲げているくせに、人族同士の殺し合いに発展したんだよ。だが、共和国もただでは終わらなかった。昔から王族内で秘匿とされて来た『極滅魔法』。それを使い、三国にも多大なダメージを与えた。」



 その後、人々は疲弊し切っていた。

 他種族の殲滅から、国々の戦争へと発展し、共和国の魔法により三国も大きい傷を負った。

 そして、アレが起こった。



「"魔王"が出たんだよ。」



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