見てもらった。



 テイルとミールさんと一緒に、門から少し離れたところまできた。

 そこで、テイルが口を開いた。


「さて、魔力の使い方を教えようか。ミール、お願いできるか?」


「ハッ!お任せください。…少年よ、まずは魔力とは何かわかるかな?」

 テイルから俺に向き直り、ミールさんは話しかけて来た。


(魔力、ってまぁゲームでいうMPのことだとは思うけど。)

 そう考えた俺だが、その存在を知っているだけで出し方など分かるわけがなかった。


 ステータスに有る魔法を選択。するとMPが減って魔法が使える。

 そんな簡単な操作だけで、ゲームの中では魔法を使っていたからだ。


「ステータスとかは無いのか?あの、名前や役職、それに魔力とかちからとかが分かるようなものなんだけど。」

 俺がそう聞くと、ミールさんは困ったように首を振った。


「すまない。勇者の子も言っていたが、この世界にはそんな便利なものはないんだ。人は皆、生まれた時に何となく理解していて、練習したらそれを使えるようになって来たからな。」


「あー…、そう、なのか。」


「まぁ、安心しろ。他人の魔力が分かる方法もある。それは、体に魔力を流す方法、そして感知魔法で使う方法の二つだ。前者は総量が詳しく分かり、後者は魔力を持っているかどうかが分かる。」

 そう語るミールさんは、少し得意げだ。

 というか…。


「なんか、詳しいなミールさん。先生みたいに見える。」

 俺がそう言うと、ミールさんの後ろにいたテイルが驚いたように片眉を上げる。


「ほう?鋭いな、ユウヒ。現にミールは魔法学院で教師をしていた事があるんだ。彼女は騎士団最強の魔法騎士でね?俺について来れるのも彼女くらいなもんだ。だから、俺の仲間として活動してもらっている。」


「まぁ、少しの間だけでしたが。」


「へぇ〜、すごい!!じゃぁ、あのどっちの方法で見るんだ?出来れば、感知が嬉しいんだけど!」


「ふっ、少年は勇者に似ているな。彼も自身の世界には無いからと、魔法を見たがっていた。まぁ、私たちもスマホやゲーム機に興奮したものだがね?」

 テンションが上がり出した俺に、少しおかしそうに笑ったミールさんは、短剣を取り出してブツブツと呪文らしきものをを唱え出した。


「神より授かるは、知。

     邂逅する存在を、解く。

          降り注ぐ星に、舞え。

       《アルテラ》‼︎」


 そう唱え出すと、彼女の体から小さな粒子が溢れ出てくる。

 それは俺の周囲を回り出すと、星のように点滅し出した。


 その光景に見惚れてていると、テイルが誇らしそうに話しかけてくる。

「どうだ、綺麗だろ?ミールは、俺よりも魔法の扱いが上手いんだ。しかも、この魔法を使えるのはこの世界じゃ、希少なんだぞ?」


「そうなんだ…。」

 そんな会話していると、急にミールさんが驚いたように声を上げる。


「なっ!?魔力が、感じられない…?どういうことだ?これは、一体…!」

 そう叫んだミールさんは、何か得体の知れないものを見る目で、俺を見つめていた。

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