分からなかった。


「さ、ここがこの王都に繋がる門。まずは、ここで犯罪等の確認、そして通行料を払わなければならない。ユウヒには確認など必要ないと思うが、形式上ね?」


「え?あ、う、うん。そうだな…。」


 王都の門に繋がる門の前で、テイルが説明してくれた。

 水晶に手を翳し、犯罪者に刻み込まれた魔法紋(タトゥー)が無いかを、確認するらしい。


 しかし、俺は門の大きさや煌びやかさに驚いて、説明が半分ほど入ってこなかった。

 そう考えているうちに、テイル達は門へと向かっていったため、慌ててその後ろへとついていく。


「よし、じゃあ行こうか?………すまない、少し良いだろうか?」


「はい、続いてのか……、ハッ?!テッ、テイル、様!!どうぞ、お通りください!!」

 流れ作業のように、列を捌いていた門番がテイルを見た途端に、直立不動となる。


 やはり、彼は偉い人のようだ。

 いや、自分でS級とか言っていたし、すごい冒険者だから反応したのか?

 それを少し困ったように見たテイルは、門番に俺のことを紹介した。


「そう固くならなくて良い。彼のことで少し、ね。彼はユウヒという者で、ユースルの森で助けたんだ。初めて王都にきたみたいだが、身分は私が保証するよ。」

 テイルに名前を呼ばれたため、門番さんの前に出て会釈する。


「あ、ユウヒです。あの、森で助けてもらって。で、王都に案内してもらいました。」


「そういうわけで、彼も一緒に通してくれるかな?これは、通行料だ。」


「え…あ、はぁ。分かりました。えっと、ユウヒ君だったね?念のため、この水晶に手を翳してくれるかな?」


「あ、はい。えっと、こうですかね?」


 門番さんは少し困惑していたが、テイルに言われたからか一応は信じてくれたようだ。

 そして、水晶に手を翳すよう言われたため、俺は分からないながらも、手を翳す。


「………?あの、魔力流してくれるかな?」


「え?あっ、魔力…ですか?」


「うん、そうしないと反応しないからね?」

 門番さんは困ったように言ってくる。


(いや、魔力って言われても…。)

 どう流して良いか分からず、固まっていると後ろからテイルが耳打ちして来た。


「まさか、魔力を流せないのか?」


「え、うん。だって、俺のとこに魔力なんて概念なかったから…、流し方なんか分からないし。」


「いや、だが勇者はわかっていたぞ?体から湧き上がった、と。」


「え?うーん…。そう、言われても…。多分これも女神様の影響なんじゃないの?」


「そうか…、どうしようか。……すまない、少し待っていてくれるか?」

 テイルは門番さんに言い残し、俺を連れて門の場所から離れていく。

 門番さんは困惑しながらも、頷き了承したようだ。




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