街に行った。
「君はこれから、どうするんだい?」
「え、これから?」
さっきの場所とは離れ、テイルとミールさんと一緒に、森の出口へと向かっている。
俺がいたところはかなり森の奥地にいた様で、さっきから長い間歩いている気がする。
スキルでの力も無くなった為、段々と疲れて来た。
「あぁ、ユウヒは旅をしなければならないのだろう?だが、そのためには資金や情報、それに道中には魔物も出る。それに対処するための力も必要だ。君は少し弱々しいからな、スキルの力だけでは乗り越えられないこともある。」
「あー、そう言われたら、そうか…。」
確かに、テイルの話は一理ある。
スキルの力が無くなった瞬間、ゴブリンの棍棒が重くて持てなくなった。それに資金も日本の金じゃ無理だろうし…。
あとは、情報か…。確かにこの世界のことは何も知らないからな。教えてもらえなかったし。
いや、でも…、確かヒロキは…。
「魔王はもう居ないんだよな?じゃあ、魔物は出ないはずじゃないか?魔王は魔物を操る存在だって聞いたし。さっきのゴブリンもおかしいと思ってたんだよ。」
「おぉ、よく知っているな。確かにそうだ。だが操る存在なだけで、生み出す存在ではないのだよ。まこれは最近わかったことだがな。この事も女神様に教えてもらったんだ。」
「失礼、少しいいですか?…少年はこの世界を知っているのか?女神様には何も教えてもらえなかったのだろう?なのに、スキルの使い方を知っていて、魔王のことも知っているとは。現に勇者は何も知らなかったぞ?」
前を歩いていたミールさんが、こちらに話しかけて来た。
「あぁ、俺のいた世界では異世界ものの小説が流行ってたらしくて、それに詳しい友達に教えてもらったんです。さっき言ったようなストーリーが多いとか何とかで。」
「ほう、それは興味深い話だな。あぁ、それと私にもタメ口で構わないぞ。まぁ、テイル様にタメ口なのは少し引っかかるがな。」
「いや、俺は別に構わないぞ。」
「テイル様、口調が…。」
「もう、いいだろう?流石に口調をずっと変えてるのは疲れるんだ。すまないな、ユウヒ。これが本当の俺だ。まぁ、相変わらず身分は明かせないが。」
「あ、いえ。その、じゃあ…よろしく?」
少し困ったように言うと、テイルは大きく笑っていた。
そうやって二人について行っていると、漸く出口が見えて来た。
俺は我慢出来なくなり、すぐに光が差している方へと駆け出した。
「あっ、ユウヒ!」
そして。駆け出した先に見えたのは、
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