前にも来ていた。
「あの、最後にいいですか?街はどこにあるんでしょうか?」
「街?君は冒険者だろう?それならわかるんじゃないのか?」
そう言って、ミールさんは怪しそうに俺を見てくる。
(やばい、怪しまれてる気がする。言うか?でも、うーん。あの経験を言って本当に信じてもらえるのだろうか。)
「いや、あのー。そのー…。」
「君は冒険者ではない?なら、何だ。ここは、クエストを受けた冒険者くらいしか来ない森だぞ?じゃあ、平民か?それなら、テイル様の名に反応しないはずはないが?」
そう言ってミールさんは剣に手をかける。
「いや、あの!!話したいのは山々なんですが!本当に、信じてもらえるのかと…思って。あの、本当に話したいんですよ!?」
そうやって慌てていると、少し呆れた様子のミールさんは剣から手を離す。
「その感じは、本当にただの平民か?」
「ミール、彼は何かを成せるような力は持っていない。まぁ、ゴブリンを倒したのはすごいが、今はその力を持っていないようだしな。」
彼は、俺がいつのまにか数字が見えなくなって、湧き上がる力も無くなっているのもお見通しのようで、ミールさんから庇ってくれた。
その様子に申し訳なく思い、俺は本当のことを話すことにした。
「あの…実は、ですね。」
ーーーーーーーーーーーー
「異世界…だと?それに、女神様がそんなことを?」
「はい、あの信じてもらえないと思いますが、そうなんです…。」
俺が困ったように説明すると、目の前の二人は目線を交わして、テイルがミールさんへと指示を出した。
「女神様のことは、少し置いておこうか。まずは…、ミール。」
「ハッ!…少年。君の言ったことは信じたいが…、証拠がない。スマホを見せてくれるか、それともゲーム機がいいか?」
「え?あっ、えっ、はい!!」
慌てて俺は、カバンからスマホやゲーム機を出そうとするも、カバンの中身を全て地面にぶちまけてしまった。
「あっ、これ!これです!!これがスマホで、ゲーム機と財布と…!」
「ふむ…、ミール。これは信用する他ないようだ。前に来た者とは少し大きさは違うが、スマホも持っているようだしな。」
「そのようですね。それによく見るとユウヒの服装は、前に来た者と似ていませんか?」
ミールさんがスマホを手に取りながら、俺の服装へと目を移す。
俺の服装に似ているということは、制服が似ているということだろう。
それって、つまり…。
「前にもこの世界に来た人が?しかも、学生でスマホも持っていた。」
「あぁ、隣国で勇者召喚された者だ。私達はその召喚に立ち合い、彼の姿と持ち物。それらを確認したことがある。」
「あのッ、じゃ、じゃあ、その方に会わせてください!!その勇者さんに!!!」
そう言った俺の言葉に、二人は揃って首を横に振った。
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