クソゲーだと思ったら、強かった。


 敵のゴブリンの数字が30まで減ったことによって、俺の数字は…。


「42…!!キタ、キタッ、キタァァァァァッッ!!!」

 両手に棍棒を持った俺は、天に向かって叫ぶ。42にまで上がったことによって、内から力が湧き出てきた。今なら何でもできそうだという気持ちになる。


 俺の天への咆哮によって、目の前のゴブリン達は怯んだように、一歩後ずさった。


「いいねぇッ…!!さぁ、よくも俺のことを追い詰めてくれたなぁッ…!!!」

 そう言って、ゴブリンへと駆け出す。


 50はひとまず無視だ。先に30のゴブリン二匹に棍棒を振り上げた。


「オラァッッ!シャラァッ!!」


「ゴッ…!ゲゥゥ…。」

「ギィッ!?ォゲエッッ!!!」

 頭を潰された二匹は煙となって消え、歯をドロップした。


「これで102か…!さて、後は君たちだ?…死ぃぃぃねぇぇぇッッ!!!」


「「「ギャァァァァアアアアア!!??」」」




「さてと…、あー疲れた!!もう動きたくねぇ!!」

 そう言いながら、傍にあった石に座り込む。


「やばいな、なんかハイになって叫びすぎた…。喉がいてぇ。てか、アノ広告のくせに強すぎない?バランスどうなってんだよ。」


 そう言って、いつまで経っても表示されている数字を見ていると、また奥の方からガサガサと音が聞こえてくる。


「またぁ?…はぁ、もうしんどいけど。まぁ、いいか。今の俺には……敵、が…!?」

 いない。と言いたかった口を閉じる。

 奥に見えた巨体とその数字を見てしまったからだ。


「9999…!!?」

 俺は叫んだ。叫んでしまった。


 その叫びに反応した巨体は、俺に近づいてくる。

 段々と姿を現したその巨体は、さっきのゴブリンを五体ほど縦に並べた位の大きさをしていた。


 俺の身の丈ほどの丸太を片手に、腰蓑には人間の耳らしきものを飾りつけ、頭蓋骨で出来た胸の飾りと大きく出っ張った醜悪な腹を揺らし、笑って俺を見てくる。



「ゴブリンの親玉か…?すげーデケェ…!!」

 俺は額の汗を拭い、体を動かせずにいた。

 周りを見渡すが1や2、大きくても6までの数字しか見えない。


「これは…、終わりか?動いたら殺される気がする…!」


「ゲッゲッゲッゲッ……グェッ!!??」


「…えっ?」


 突如飛んできた大剣が、親玉の側頭部に突き刺さる。

 俺が驚いている暇もなく親玉の頭は破裂し、あっけなくその巨体は沈んだ。


「何が…起こったんだ…?」

 驚いていると、剣が飛んできた方向から声が聞こえてきた。

 俺はその方向へと首を動かす。


「おい、大丈夫か?どうにも倒せる気配ではなかったものでな、横槍を入れてしまった。」


「え?はい…、ありがとうございます…。」



 綺麗な金髪をした、王子様感のある男が歩いてきた。

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