クソゲーだった。

 気づいたらあの白い部屋に戻ってきていた。辺りを見渡したが、あの女神はどこにもいない。

「女神ー!おい、女神ー!文句の一つや二つや千個ほど言わせろー!!!!」


 そうやって叫んでいると、俺の目の前に文字が浮かび上がる。



 これから広告が流れます。

 30秒後にスキップできます。


「え?広告?これって…。」



 ウァァァァァァッッッッ!!


 ヘルプミー‼︎

 ガッハッハッハッハッ‼︎



 突如俺の目の前にゲームの広告が流れ出す。

 それは携帯のゲームアプリをやっていると、たまに流れてくるアノ広告だった。



 ハッ!ハッ!ウァッ!

 ヘッヘーン!


 オーゥ?

 ガァァァァァ!



 高い塔には頭上に数字が書かれた敵。

 主人公は数字が1のため敵を倒したり、剣や鎧を装備して数字を上げていき、囚われの姫を助けるゲームだ。


「いや、うん…。だから、何?…待てよ?広告、ガチャ?まさか、いやそんなまさか…!」


 スキップできます。しますか?

 ✖️←押してください。


「いや、わかってるよ。何回も押してきたし。はい、ポチっとな!」



 ーーーーーーーーーーーー


 元の異世界に戻ってくる。

 先ほどの位置とは離れたところに立っており、ゴブリンはキョロキョロと俺を探していた。


 ただ、さっきと違うところが一つ。

「頭の上に数字?………やっぱ、そういうことか?」


 ゴブリンたちの頭の上には、45〜50までの数字が並んでいた。

 反対に俺の数字は1だ。これではさっきのゲームと一緒……ということは、だ。


「数字を上げて、あいつらを倒す。いや、でもどうやって数字を上げろと?剣も鎧もないし。」

 と周りを見ていると、同じような数字が俺の目に飛び込んできた。


「ゴブリン!?…いや、違う。木の棒か?それにも数字が…。」


 ゴブリン達にバレないように、2と書かれた木の棒に近づきそれを拾うと、俺の数字が3に増えたのだった。


「これは…!いける!いけるぞ!!」

 そう叫んだ俺は他の数字を探す。


 その声に反応したゴブリン達が、こちらを見てくるがそんなものは関係ない。

 こっちは数字を探すので必死なのだ。


「「「ギャアァァ!!」」」


 攻撃を避けながら、石を拾いポケットに入れる。4になる。

 大きめの木の棒を拾う。8になる。


「うぉっ?って、さっきの豚か?数字は…3!オラァッッ!!」

 騒ぎに反応した豚を攻撃する。肉を残し、豚は消える。


「よし、11になった!」

 喜んでいると、ゴブリン達が肉に反応し群がり出した。


「お?これはチャンスかっ?」

 そういって俺は、木の枝をズボンのベルト通しに引っ掛け、肉に夢中になっているゴブリン二体から棍棒を奪い取る。


「ギャッ?ギャアッ!?ギャッ、ギャウッ!」

 二体の数字が30まで減る。

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