広告ガチャだった。
手には棍棒。もう片方の手には木でできた丸盾。草でできた腰蓑をつけ、緑の肌をしている人型。
異世界のテンプレ魔物、ゴブリン。ヒロキはそう言っていた。
そして俺は…。
「やべぇ…!ゴブリンだ…!!ゲームで見た事あるやつが俺の!目の、前に!!」
興奮していた。
ステージの序盤で出てくるような、まさにゴブリンといったような形をしたモノが出てきたからだ。
最初は異世界ってマジかよ、クソかよ。と思っていたが、実写で見たゴブリンに柄にもなくテンションが上がる。
「これは、すごいぞ。でも、臭ぇ!こいつらが臭いの原因か…!でも臭いがあるということは生き物ということ!!」
「ギャッ!?ギャウゥゥ!」
「ギャウ、ギャァ!」
「あ、なんか困惑してる。」
俺が生のゴブリンに興奮して飛び跳ねていると、件のゴブリンたちが目に見えて困惑し出した。
(え?あいつ怯えてなくね?)
(やべーな、あいつ。なんか跳んでるし。)
とか、思っているのだろうか?
俺がそう思っていると、ゴブリンたちも跳び始め、俺に威嚇してきた。
「ギャウゥゥ、ギャァァァアア!!」
「ギャッギャアァァ!」
「あっ、これ、やばくね?俺何も武器とか持ってねーけど。やっ、ちょっと待ってください。ゴブリンさん!ゴブリン様!!ゴブリン閣下ーー!!!」
俺が少し危機感を持っていると、二人一斉に棍棒を振り上げ迫ってきた。
背を向け、脇目も振らず逃げ出すと、ゴブリンはギャァギャァと笑いながら、追いかけてくる。
時々、足をもつれさせながら来た道を引き返していく。
焦っていたためさっきまでの道を逸れ、どんどん森の奥へと引き返していくと、前方からゴブリン特有の臭いが漂ってくる。
「ハッ、ハッ…!マジか、それだけは、やめてくれよ…!!くそっ、くそっ!!」
森の開けた場所に出てきた。
すると、そこには追いかけてくるゴブリンと同じモノがさらに三体ほど出てきた。
「「「ギャァゥ?」」」
「あっ…。これは、終わったかもしんねぇ。」
前方には俺のことを獲物と捉えた三体のゴブリン。
後方には諦めた俺に、ニヤけながら近づいてくる二体のゴブリン。
もう異世界の旅は終わりかー。と思っている俺の脳裏にヒロキの言葉が浮かんできた。
『…で、その主人公のスキルがこれまたチートでさぁ…!!』
「スキル…?スキルか!?確かあの女神もスキルを授けるっていってたよな!?」
その言葉を発した途端、ゴブリンたちが一斉に襲いかかってきた。
「こうなったら…、スキル!発動!!」
スキル[広告ガチャ]の発動を要請。
承諾。
[広告ガチャ]の準備に入ります。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます