森にいたらなんか出てきた。


「スマホと…充電器とバッテリーに、おやつとゲーム機。こんくらいかな、使えるのは。財布に筆箱とかは意味ないだろうしなぁ…。」



 あれから俺は森を移動して、住んでたところでは見れないような大きさの木の根元に腰を下ろした。


 ヒロキの話を思い出して、異世界というものをよく考えていた。

 ひょんなことから異世界に召喚され、その世界にはステータスやスキルがあって、魔物もいて、街は中世ヨーロッパあたりの文明らしい。


「異世界ねぇ…?ほんとかな?いやでも変な草とか生えてるしなぁ。何これ、見たことねぇよ。」

菱形や三角形といった形をした草を少し撫でてみる。

すると、その草が突然動き出した。


「え?うぉわっ!?なっ、え、豚?いやでも草生えてるし…。」

草の根本がボコっと盛り上がったと思うと、割れた地面から背中からその草を生やした豚が出てくる。

その豚は少しブーブーと声を出すと、周りを見渡し再び地面に戻っていった。


「いや、コッワ!!キッショ!!ほんとに異世界じゃねぇかよ!!!!」

そう叫ぶと、俺は尻餅の体勢から立ち上がり、街探しを再開することにした。



「まぁでも、魔法もあるらしいしなぁ。それはちょっとワクワクするかも。てか、なんでこんな落ち着いてるんだろ。俺、ほんとに異世界に来たんだよ?」

 そんなことを言いながら、何処かにあるかもしれない町を目指して、木の根元から離れて山道を歩き出した。




 ーーーーーーーーーーーー



「しっかし、何もねーなぁ?ヒロキは最初に街を目指すとか言ってたから、当てもなく歩いてっけど。」

 橙や紫といったドギツイ色した草を掻き分け、少し舗装された道を進み森の出口を目指す。


 なんか、さっきから変な臭いがしてくるのは気のせいだろうか。

 何かが腐ったような臭いがしてすごく気分が悪くなってくる。


「やばいな、この臭い。もしかしてこっちは進んじゃダメだったとか?いやでも、舗装された道があるからこっちだとは思うんだけど…。」


 するとその時、横の茂みの方からガサガサと音が聞こえた。


「あ、なんだ?」

音がする方を見てみると、横の草むらが横に揺れている。


警戒しながら、草の方を見ているとそこから出てきたのは…。

「まさか…ゴブ、リン?」


「ギャウゥゥ?ゲァッ、ゲゥッ!!」

「ギィッ、ギャッ!ギャッ!」


二体のゴブリンらしきものが、こちらを睨みつけていたのだった。


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