過ぎた古い話。


 そこに神がいた。


 すべてを知り、すべてを司る。


 始める前に終わりを知る。


 すべてが揃っているのに、なにも無い。


 だから、「なにも無い」を、作った・・・



 それは、大空の覇者となる翼を持ちながら飛べず。


 それは、絶対の破壊者の力を持ちながら争えず。


 それは、不滅の肉体を持ちながら怯えていた。



 真紅の巨躯と真紅の瞳は絶対者の証と詠われ、

 黄金の角と黄金の爪は死の象徴と囁かれ、

 その影を目にするだけで、そよ風さえも息を潜めた。


 その様な偉大な父を持ち、

 それは、周囲の目に圧し潰されていた。



 しかし、それは、新大陸創造の礎となる。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る