第14話
話をよく聞くと秋川が会うのを止めようと言ったのは、私の大学入試が終わるまでという意味だった。
来月には大学入学共通テストがあり、そこから入試は本番に入っていく。秋川の言葉は受験生の私を心配してのものだった。
寂しいけど、入試が終わるまでは予備校の外で秋川に会うのを我慢する事にした。秋川は私の決断を「いい子だね」と言って褒めてくれた。
そして入試が終わった二月。バレンタインデーのチョコを持って、予備校に行った。
職員室の前で夏美が目を真っ赤にして泣いていた。隣にいた由美ちゃんに聞くと秋川が亡くなったと聞かされた。
風邪でここ一週間秋川が休んでいた事は知っていたけど、亡くなるって何? だって昨日まで秋川とアプリでやり取りしてたし。秋川、大丈夫だって、風邪治ったって言ってて……。
信じられなくて、秋川のマンションまで行った。
行くと秋川に顔がよく似たお母さんが出て来て、「もしかして、理桜ちゃん?」って私を見て言った。
それから秋川が先週から終末期医療が受けられる病院に入院していた事、今朝、息を引き取った事を聞いた。
秋川が本当に余命半年のすい臓がんだった事を初めて理解した。
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