第13話

「理桜、もう会うのは止めよう」


クリスマスの日、秋川の一人暮らしのマンションでクリスマスケーキを食べている時に言われた。


もしかして嘘がバレた? 

秋川怒っているの?


胸の奥がぎゅって締め付けられて、瞼の奥が熱くなる。


嫌だ。


「先生と会わないなんて嫌だ!」


フォークを置いて、隣に座る秋川にしがみつく。


「なんで先生、そんな事言うの? 私の事嫌いになった?」

「嫌いにならないよ」

「嘘。先生は、秋川は……私の事好きじゃないんでしょ? だからキスしてくれないんでしょ?」


顎を掴まれて、秋川の方を向かされた。

あっと思った時には柔らかな唇が重なっていた。


チョコ生クリーム味の甘いキス……。


「理桜、好きだよ」


唇を離すと秋川が言った。

初めて好きって言われた。嬉しくて涙が溢れる。


「私も秋川が好き」


秋川に抱き着くともう一度キスをしてくれた。


その夜は初めて秋川のマンションに泊まって、秋川とくっついて眠った。幸せな夜だった。秋川の胸にぴたりと耳をくっつけて秋川の心臓の音を聞いた。力強い鼓動だった。秋川が生きている音だと思ったら、感動して涙まで出て来た。

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