第7話

秋川の彼女になる為にはどうしたらいいか、3日考えて完璧な計画を思いついた。


秋川も私も余命半年って事になっているから、それを利用しよう。


死ぬまでに一度でいいから彼氏が欲しいとかって秋川に泣きついて、他の人にした方がいいと言われたら、自分が死んだ後、彼氏に悲しい想いをさせたくない。秋川なら余命半年だから、私が死んでも後腐れなくこの世を去れるって言えばいい。


我ながらよく理屈が通っている。秋川が逃げるには余命半年と言ったのは嘘でしたって言うしかないよね? 


秋川どうするかな。嘘を認めるかな。それとも白を切るかな。

なんかわくわくして来た。


よし。土曜日、予備校が終わった後に秋川に告白しよう。


土曜日の午後3時。仕事終わりの秋川に話があると駅前のファミレスに誘った。


ファミレスに入ると偶然にも案内された席は一週間前に秋川と夏美が座った窓際の席。一応、周囲に知り合いがいないか確認する。知っている顔はいない。藤井っていうウェイターもいない。


店にグレーのスーツ姿の秋川が入って来た。

立ち上がって手を振るとすぐに私に気づいてくれる。


こっちに向かってくる秋川を見て、意外と背が高い事、手足が長い事、肩幅が広い事、細身の体にスーツが似合っている事、塩顔系のちょっとイケメンな事を意識してしまった。


秋川と目が合った瞬間、急にドキッとする。


「佐々木。待たせたな」


活舌のいい低めの声にも胸がざわついた。

秋川相手に何意識しているんだろう。秋川なんて全く好みじゃない。私が好きなのは塩顔じゃなくて、可愛らしい顔をしたイケメン。


彼氏になって欲しいと告白するのは騙した事を懲らしめる為。秋川の事なんか全然好きじゃないんだから。


「もう頼んだか?」


秋川がメニューを見る。


「はい。ドリンクバーを」

「じゃあ、俺もドリンクバーにするか。甘い物もいいな。仕事の後は甘い物欲しくなるんだよな。佐々木もどうだ?」


甘い物って言葉にパフェが食べたくなった。

秋の新作マロンパフェが美味しそうだと思っていたんだよね。


「お、マロンパフェ。うまそうだな」


秋川が新作スイーツのメニューを見た。



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