オメガバース・オムニバス GL編 変化と進化
「ハーーーーーー……スーーーーー…ハァーー…」
肺がパンパンになるくらいの特大深呼吸をする。
起きたらめちゃくちゃ体が熱くてだるかった。
【
ヒートが強くなる前に、しっかりご飯を食べて水も用意した。
ヒート中は体が勝手に発汗、体力消費するので、冬眠前の動物のように食べるときがある。
【食”欲”を満たす】ため。
たくさん食べたので満腹だからでもあるが、
だるさと熱さと体の芯の疼きが、めちゃくちゃ煩わしい。
私の場合は5日間なので、
こらえてなんとか寝てしまえばすぐ終ると、毎回、
【睡眠“欲“で、性”欲“を眠らせて】
これまでは。
(起きてすぐに気づいたから、緩和剤と睡眠導入剤服用したけど、いつもより効きが遅い気がする)
いつもなら眠くなる程の時間が経ったが、なかなか睡魔が来ない。
(流石に効かなくなってきたかな。薬変えてもらえるかなぁ)
今服用している薬はどちらも、同じオメガの友人(薬学専攻)が調合してくれていて、
処方するのもされるのも自己責任として、友人の師である大学教授兼大学病院の医院長から許可を得ている。
(とにかく報告を兼ねて、友人にヘルプメールを)
見事に指に
プルプルと震えて弱々しい指を動かしながらスマホの液晶をタップする。
【あつイ だるい たすけて ヒートキタァ↑】
我ながら出来上がった文章に笑いそうになった。
予測変換に頼った結果、若干軽い文面になってしまったが友人なら理解してくれると信じて送信した。
――――数時間後。
ピンポーン
ピンポーン
ピンポンピンポンピンポーン
「…」
来客の呼び出しボタンの連打音で目が覚めた。
少し寝ていたらしい。
依然として弱々しい指でスマホをつつく。
『ハイッテ イイ 鍵 あいてる どうぞ』
ガチャっとドアノブをひねり、友人が入ってきた。
「開けてるのは、流石に無用心だよ。危ない」
そう言いながら、鍵をしっかり締めてくれた。
「完全に寝起きだね。体どう?まだだるい?」
一回寝ると幾分かヒートが軽くなっているはず、だが今回は軽くならないらしい。
なんなら短時間でも寝たことにより睡眠欲が外れてしまい、未だ消化中の満腹の感覚と性の欲だけが残った状態になっていて
さっきより頭がぼんやりしている。
「……………むり…」
もはや発声する気力すら失せてきている。
一回、抜いてしまえば基本的には軽くなるのは確実な方法ではある。
大半の独身オメガはヒート中は、自宅にこもるので
たぶんシているのだとは思う。
世にはヒート発散デリヘルなんてのもあり、呼んで発散してる人も少なからずいるらしい。
自分としては、症状がきつい時以外はむやみに自慰衝動に身を任せたくないという謎の潔癖思考で、睡眠と食欲で抑制していたが、今回は きつい ではなく 酷い。
「なんか今回、ものすごーくきつそうだね。一応、新しく君に合わせて調合してきたよ。緩和剤」
(めちゃくちゃありがたい。我が友最高。)
を、精一杯顔に出して伝えてみた。
「はいはい。なんとなく何を伝えたいかは分かるけど、いまの状態でその表情は、見る側によっては誘惑になりかねないからきをつけてね」
伝わったみたいだが、同時に怒られた気がした。
「すこしまってて。飲みやすいようにしてくる」
持って来た緩和剤を、テキパキと手早く飲みやすくしてくれている。
見る限り、ゼリーに包んでいるっぽい。
(おくすりの○たな♪みたいだなぁ)
「できた。飲み込める?」
うつ伏せに寝転がっていた状態から、体を起こし壁を背がもたれるようにベッドに座らせてもらった。
試しに空のスプーンをもってみたが、絶対に緩和剤入りゼリーが落ちるくらいにプルプルしている。
「…フッ…ごめん。俺が口に運ぶから飲み込んで」
普段あまり笑わない友人が、何故かこういった時、心配ながらも笑ってくれるのでヒートが少し面白く感じられて気持ちが楽になる。
もしかしたら友人はSっ気があるのかもしれない。
「はい。あーん」
「あーー……ん。ムグムク」
ゼリーが桃味。甘い。美味しい。緩和剤が苦いけど
ゼリーでうまく混ぜてあって中和できてる。
「大丈夫だね。味覚が敏感になってるはずだから、香りを強めにして、鼻に味を勘違いしてもらって甘味料はなるべく薬の邪魔にならないようにいれた」
(天才。私は、いい友人もった。)
「効くまで大体一時間はかかる計算だけど、耐えられそう?」
「………」
薬をもらって、安心したのもあり、心持ちとしては耐えられそうな気がしている。
だが、体の方は今までとは違いかなりきつい。
【正直キッツイ できるなら抜きたい 根性で切り抜けれそう なるべくしたくない気持ちもある】
気合いを入れた指でスマホをタップして
友人に伝える。
「なら、なるべく汚れない抜き方、教える」
要は、気持ちよくなればいいんだから と言いつつ
私の体を仰向けなるようにベッドに押し戻す。
ギシッ
「??!!!」
友人がベッドに乗り上げてきた。
フェロモンに当てられてしまったのか。
とっさに警戒して身を縮めようとした。
「こら、マッサージできなくなる。丸くなるな」
「?????」
友人いわく、
陰部に触れず、外部から刺激を与えて臓器自体に快感を促すマッサージ。らしい。
「ちなみに俺の優しい知人に教えてもらったから、効果はある程度保証する。それとあとひとつ報告」
友人が自身のカチリとチョーカーを外すと、露わになったうなじには、小さな噛み跡があった。
「なんとなく察してくれるだろうけど、優しい知人さんに
(マッサージってなに…というか、いつのまに…)
ヒート中の脳みそで理解できるキャパを超えてしまったので、私は、考えるのを放棄した。
とにかくヒートの苦しみがすこしでも軽くなるならと友人に身を委ねた。
「まかせて。あの人直伝のマッサージ。うまくやる」
友人はキラキラと目を輝かせながら、私の下腹部に指を沈めて揺らすというマッサージをした。
友人の手際がよかったのか、多少ヒートが楽になった。
おもしろくなって友人が何回も達させてきたのは、
しばらく根に持とうと思っている。
後で聞いたら、一種の中イキの方法だったらしく
友人は知人さんに男性向けのマッサージをしてもらって、ついでに女性向けを教えてもらったらしい。
友人の知識欲に対する驚きと、知人さんとの急な進展とマッサージ中のSっ気に今日1びっくりした。
その日は、番を得てなんだか進化した友人を玄関でみおくって、どこかしら変化した自分の体を暗闇にならすようにその日は眠りについたのだった。
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