第21話2つの告白

放課後に、僕は水原に体育館に呼び出された。


水原は、体育館の倉庫で待っていた。


「ねぇ、わたしが京都に引っ越したらどうする?」


「え?」


「父さん単身赴任でも良いって言ってるんだけど心配で。社長だし、責任もあるから。」


「そうか。家族は大切だから一緒に行きなよ。」


水原は、少し寂しい顔をした。


「藤田君も家族だよ。将来一緒に暮らそうね。」


「プロ選手になったら向かえに行く。」


「絶対だよ!」


「男に二言はない。」


夕焼けの光が2人の泣いた顔に降り注いだ。


次の日、学校の誰もが水原が京都に転校した事を知った。


その日から僕は猿軍団を鍛えた。


戦術、ケガ防止、サッカーの裏の裏まで教えこんだ。芥川いっちゃはちょっと練習を見て教室に入って行った。


そんな時にマネージャーとして入って来たのが一条ゆめだった。


ゆめは、水原並みに頭脳明晰だった。


ただ、僕に夢中だった。


「放課後、一条ゆめは、僕を呼び出して水原さんがいなくなって寂しいですか?」


「将来会う約束だから。」


「それより何の用事?」


「このシチュエーションで鈍感ですね。藤田先輩好きです。付き合って下さい。」


「一条、ありがとう。でも。」


「ストップ!」


「もう少し仲良くなったらまた告白します。」


一条は、才色兼備だが、遠慮がない。帰国子女らしい。


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