トラベルの鞄は異界と異星でドン詰まり
タゴメ
第1話 トラベルの鞄は異界と異星でドン詰まり
〓〓素材提供元:短毛丸様
「
それがこの市町村を総称して呼ばれた日本の地域である。日本において山岳地帯というワードといえば、大体、ここを意味する。
山岳地帯のメインストリート、私鉄「
そこで演説している国会議員がいた。
「この
オールバックで黒縁眼鏡でスーツを着こなす初老の男性はこの選挙区の立候補者を応援するためにかけつけた。
「私は改組目前で持病により、内務卿引退を決断しました。しかし……私と同じ考えを持つ者が必ずやこの国の内務省を改組し、侵略を企む国々に負けないようにしたいと――」
国会議員の目の前に愛国心ある支持者たちがたくさんいる。若者たちが特に多い。若者たちは敬礼をする。だが、その若者支持者の1人に違和感を感じた。
国会議員を守るために周囲にボディガードたちは気づく。
「この臭い……潮気の香り?……おい!!!!」
この山岳地帯は臨海部からかなり遠い。しかし沿岸部では当然に感じとる潮気の臭いがした。
ボディガードたちは拳銃を取り出す。しかし初動は遅かった。若者支持者の1人の男性が小石を投げた。その小石は一瞬にして発火し、燃える小石となる。燃える小石が国会議員に直撃する。その国会議員は小石の直撃は痛くも痒くもないが小石の炎が燃え移り、一瞬にして人体すべてが炎上する。
「お前は魔王の下僕だったんだぁあああああ!!!! この新型
その若者の男性はボディガードたちによって取り押さえられて身動きを封じられる。燃え続ける国会議員の火を消そうとボディガードたちは消火に全力を尽くすが虚しくも消すことはかなわかった。国会議員は肉片残さず焼け焦げて焼死するのだった。
この国会議員は数年前、日本内務省改組を目指して長期政権を作った偉人であった。高い支持率を維持し、内務省改組のための国民投票まで間近だったが、余裕しゃくしゃくと自身の権威の基盤を固めてきた。内務卿は他国では総理大臣を意味する。だが、そこで予想外のことが発生する。
新型
第2次世界大戦で悪の枢軸諸国を組織した黒幕である魔王ノアが開発したウィルス兵器――
それが今になって新型
日本内務省はこれの対処が遅れて多くの被害者を出した。3年後の現在ようやくワクチンや自然免疫により鎮静化したと思ったがそうは許さなかった。
元内務卿、
数日後、同じ私鉄「
「南北は対立は激化。新型
3年前の新型
「魔王ノアは第2次世界大戦の話だろよい。元々、人工的なウィルス兵器が野性化してそれで新型として変異しただけだよい。
駅の歩道橋を歩いていると、胃袋が伸縮する。その感触になったときは危険が自分に迫っている時だ。背後に何かを感じる。焼き芋の残りを食いきって瞬時に背後に振り向く。目の前にテニスボールが飛んできた。そしてそれを追うテニスのユニフォームを着た女子中学生が駆けつけてくる。少年はその女子中学生の名を知っていた。
少年はとりあえず、速球で飛来したテニスボールを瞬時に掴み取る。
「危ないな」
「おい、そこの
真っ白なテニスのユニフォーム、黒いラケット、テニス用のバイザーを逆にかぶっている。
「この山岳地帯に
「テニスの練習をするなら学区でやれよ。ここは違うだろよい? まず
「中学生の坊主を中坊というならば、高校生の坊主は
「俺は
「3軍クラスは1軍クラスのための直属の部下を養成するザコクラスじゃな。わっちのテニスボールを掴めるとは驚きなんじゃ」
「何が驚きなんだよい? 知らないが……俺は番長として閉めにしかないといけないんだよい」
テニスにテニスボールを返すと、
「すいません。それ以上のサービスは当店ではできません……ご主人様……」
「お前らは召使いなんだろ? もっとサービスしろよ!!」
不良たちは未成年のメイド定員の胸ぐらをつかんでキスを強要する。そこに
「何しやがんだ!!!」
「番長が入院したら傘下の各グループは好き放題だな。俺は番長の代役――裏番をつとめる
「裏番か!!! 俺らはお前の下っ端についた覚えはない!!! ここは
不良たちが会話も交えずに拳を振り上げて迫ってきた。番長が大けがをして入院したと聞けば、傘下の各グループは勢力圏を取り戻そうとする。不良の1人が拳を振るってくる。
続けて別の不良が蹴りを繰り出してきた。それも
不良の後続が護身用警棒を取り出して振りかざしてきた。
「俺たちにとって喧嘩なんて日常茶飯事だ!!! 何で俺たちの動きを見切れるんだ!!!」
「古今東西だからさ。理解には幾星霜かかるだろうけどよぴ」
不良たちは一斉に
全ての攻撃は回避されるか弾き返されて返り討ちにあう。不良は全員、床の上で苦しみながら動けなくなる。
「番長代理さんありがとうございます♪」
メイドさんたちは頭を下げてお礼を述べる。メイドたちを取り仕切るシフトリーダーが
「いやいや、番長が入院中は俺が山岳地帯の縄張りを守っておかないとね」
その不良は両目が瞳がなくて真っ黒に染まっていた。
「受信!!! 受信!!!! 受信!!!!」
いきなり「受信」という単語をひたすら連呼するようになり、にやけている。
「裏番さん!! 大丈夫ですか?」
「大丈夫ですよい……。恐らくあの不良の
「元内務卿……
第2次世界大戦、魔王病に発症したら破壊衝動ととらわれ狂暴的になり、魔王に絶対忠誠を誓うウィルス兵器。あれで悪の枢軸国が結成された。ワクチンや自然免疫などで集団免疫が確立し克服された。その後、ウィルスは野性化した。そこから100年以上年月が経過し、
この
それは奇妙な光景だった。
キャンプ用のガスコンロを地面に設置し、既に点火されている。そのガスコンロの上部には棒が2本左右にvの字に分かれている。その2本の棒の先端にはYの字になっていてそこに別の長柄がセットしてある。そこに少女が吊るされている。藤色の法衣を纏い、同色のとんがり帽子をかぶった褐色肌で赤銅色の長髪――異国の少女だろう。金色の瞳孔をしている。あと瓶底眼鏡もかけている。
その少女は見た目は魔女っぽい。
その魔女っぽい少女は長柄にくくりつかけられて命乞いをしている。
それもそのはず、その魔女っ子を魔女裁判の如く火あぶりの刑罰に処そうとする少女がその長柄を回しているからだ。
「マルっちやめてズラぁああ!!! あっしはただ、目の前のコンビニスイーツにお菓子の精霊が宿り、買ってくれと懇願したからダズラぁああ!!!!」
「吾輩がそれで気がおさまると思っているでありますか!!! オペペ!!! お腹が減ったらまず吾輩に相談しろと言ったでありますな。な? ゴブダーク様」
「ごぶごぶ♪」
魔女っ娘を焼き上げようとしているのは見た目はゴルフの女性アスリートっぽいミニスカと半袖で何故か頭部、上半身胸部、腰、靴の4か所に騎士の甲冑っぽい装備をしている。水色の髪で長い髪は片方にまとめている。ツインテールやなくてサイドテールと表現したほうがいいのだろうか疑問がわかない。その少女も異国の者のようだ。
ゴルフの女子アスリートっぽい少女の問いかけに立ったできるようになった0歳児に見えるが、全身真っ黒の異形だった。
「異国の者か? 魔女っぽい人は
「あ?
「……悪いがお2人さんと謎の小物1匹……。この
そして名乗り出す。
「吾輩は
マルチーズは騎士道としての挨拶を行う。身体の各所に騎士甲冑の部位が装着されているのはそれが理由だった。腰にはゴルフクラブが長剣のように帯剣してある。奇妙な見た目だが
「続いてあっしは同じく
オッペンハイマーの横に真っ黒なゴブリンも丁寧に挨拶をする。
「ごぶごぶ」
しかし、それしか言えない。
「……
「お2人とも遠路はるばる、連合国家――
「訂正するでありますが……。あれは既存の宗派から仙女
当然のマナーを言われて
「俺は
「「
今度は
「国際南北問題を裏から牛耳っている国際宇宙開発事業団!!!」
「あの凶弾事件はお前らの仕業でずら!!!」
「ごぶごぶ」
「その事件だけは言いがかりだけど……
凶弾事件から
マルチーズから仕掛けてきた。ゴルフボールを拳で握りながら何かを唱え始める。
「この世界を作りたもうた
マルチーズはゴルフボールを地面へと落とす。そのゴルフボールにゴルフクラブで思いっ切り、スイングして打ち飛ばす。そのゴルフボールは思いっ切り飛んで急に白い鳩に変身した。その白い鳩はさらに全身を発火させる。炎上している白鳩が突っ込んでくる。
「
突然、
テニスはテニスのラケットで肉迫してくる燃え盛る白鳩を叩き落した。
「
古来、世界各地であらゆる伝記や伝承に記載されていた神や悪魔、怪物、天使、妖精、妖怪、魔法使いのたぐいを国際宇宙開発事業団――
「お前ら!!! のこのことわっちらの本拠地である
テニスはテニスボールを取り出してマルチーズのように握りしめる。
「
そのテニスボールは急速に真っ黒になり、例えると黒い霧の球体となった。黒い霧の球体をテニスはまるでテニスボールのようにラケットで正面方向へと叩き込む。
「何でありますか? あれは?」
「マルっちのバカずら!!! 避けるずら!!!」
飛来してきた黒い霧の球体の正体をオッペンハイマーは知っていた。それでマルチーズを突き飛ばす。そして彼女もゴブダークを連れて避ける。
黒い霧の球体は地面に直撃すると、そこに直系2メートルのクレーターを発生させる。
「jam Aerospace Exploration ability――略してジャクサ……
「あれってなんかブラックホールっぽいでありますな……。て、ことは……あの子って……」
「
オッペンハイマーは箒ではきだす。掃かれた
「この世界を作りたもうた
塵芥の塊は段々と背丈4メートルはある巨大な人型を形成していく。身体つきは筋肉隆々となっていく。剛腕が何本も生える。
〓〓素材提供元:qut様
「ゴミ人形ごときがわっちのマイクロブラックホールで丸かじりしてやるわい!!!」
テニスは新たにテニスボールを取り出して
「
テニスの目の前に
「テニス。さっき助けてもらったから借りは返さないとな」
「そ、それは
「そうだよい。俺の
「テニス。こいつの相手は俺がやる。君はあの女子ゴルファーを頼むよい」
「分かったのじゃ……」
テニスは背中を
「あなたを屠れたら吾輩は総本山において昇進は間違いないでありますな」
マルチーズはまたもやゴルフボールをミニスカポケットから取り出して握りしめる。
「
ゴルフボールに転移させる。この世界のどこからか火力のエネルギーと白鳩の生命エネルギーの2個をだ。
「子作りをする上で当選した命もあれば、落選した命もあるであります。この白鳩は……落選し魂エネルギー」
地面に落下するゴルフボールはまだ白鳩に変身していない。マルチーズはゴルフクラブでスイングしてゴルフボールを打ち飛ばす。ゴルフボールは粒粒の弾に分解される。その粒粒の弾は個々が白い鳩へと変身する。そして白い鳩は全身が炎上する。
無数の炎上する白鳩の軍勢がテニスを包囲し、一斉に襲い掛かる。
「
テニスは新たに取り出したテニスボールをそのサイズと同等のマイクロブラックホールを再現する。そのマイクロブラックホールの
「異星を疑似的に作り出す特異能力……
マルチーズは再度、炎のエネルギーと白い鳩の魂エネルギーをこの場に転移させて組み合わせる。ゴルフボールを依り代にだ。ゴルフボールが
「異界に憧れるあなたがたらしいのう……。時代は宇宙じゃて♪」
それに対してオッペンハイマーと
「
「
「テニスの
「……さてな……でだ……お嬢さん……ここで……提案だ……1時休戦しないかよい?……俺は新型
オッペンハイマーは真剣な
「了解したずら……。マルっちぃいいいい!!!!! 戦闘やめやめずら!!!」
オッペンハイマーは
「ゴブダーク様。 くっ殺してあげるずら」
「ごぶぅう!!!」
合点承知のすけとゴブダークは駆け足でマルチーズの背後に近づいて背中に飛び乗り、マルチーズの耳へと顔を近づけて吐息を吹き付ける。
「くぅうううううう♥ ゴブダーク様ぁ♥ そういうプレイははしたないでありますよ♥」
急に紅潮させながら戦闘をやめた。テニスは戦闘をやめる気はなかった。マイクロブラックホール化させた庭球で打ち飛ばそうとしたら背後から
「きゃああ!!! 何すんじゃぁあああああ!!!!」
数分後。
「そもそも敵地であるこの
ゴブダークを抱きかかえながらマルチーズは
「魔王ノアの残した秘宝……箱舟を手にするためであります……」
「箱舟って何なんじゃ?」
「あんたたちはどうやって
「
「それを科学力で再現したのが国際宇宙開発事業公団、
「第2次世界大戦の黒幕……魔王ノアについてはあっしら
「総本山……ドライジブラルタルの聖女様、仙女様、魔女様がたの教祖姉妹がたは大変お悦びなられた。だが……」
自分たちの宗教の信徒である日本人の銃撃によって命を奪われてしまった。
「それはあなた方の自作自演じゃないでのかのう?」
「それは濡れ衣であります!! 教祖姉妹がたもお前ら
「言っておくが
アトランティスのオリハルコンのような仮説段階の資源でしかなった
「何で箱舟が欲しいんじゃ?」
「お前ら
「
「で? そのヒントになるかもしれないのがもしかしたら俺が追っている新型
路地を突き抜けて辿り着いた場所は雑居ビルだった。テナントが1社も入っていない。売地のようだ。周囲の住人に訊くと、両目が真っ黒に染まった人間たちが出入りしていると目撃情報が数件あった。恐らく新型
雑居ビルに足を踏み入れる。ずいぶんと年単位で未使用のためかカビや腐臭などが立ち込めてくる。テニス、マルチーズは不快な顔をする。だが、オッペンハイマーはむしろ喜んでいる。臭いのが好きのようだ。
「鼠の臭い……クモの臭い……ゴキブリの臭い……カビの臭い…腐臭♥ 腐臭♥ すんは♥ すんは♥ すんは♥ ここは楽園♥」
「こらオペペ!! あんたの腐臭フェチはどうでもいいから早く進むでありますよ」
オッペンハイマーはめちゃくちゃ腐った臭いが大好きらしい。床にへばりついて腐った臭いを思う存分堪能する。しかし相方のマルチーズおろかお供のゴブダークもドン引きしてしまうくらいの暴走変態道っぷりだったのでマルチーズが焼き上げるぞと脅迫するとオッペンハイマーは涙を流しながら我慢する。
「マルっちは何故、この腐臭の素晴らしさが分からないずらか? あっしは下水道とかスラム街とか大好きずら♪」
「異文化は素晴らしいといえばいいのかよい?」
「
「これは違うであります!! オペペが変態なだけであります」
「ごぶ!!」
オッペンハイマーをなんとか我慢させて雑居ビルの内部を進んでいくと、数人の男どもと出くわす。男どもの誰もが目が瞳はなく真っ黒に染まっている。
トラベルの鞄は異界と異星でドン詰まり タゴメ @tobutori2311
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