第17話 カードゲームあるある
案ずるより産むが易しとはこのことだったのだろうと思うくらい、俺の不安は払拭された。
「ふぅん……このおーしーじい?カードゲームが始まりだったんだ?」
「んだな。発売日当日に買ったカードゲームがまさか異世界に通じていて、そして俺自身が変身ヒーローの真似事までさせられているなんてね」
「カッコよかったよ?」
「さんきゅ!」
ちゅっと軽くキスをする。
今俺と葵は俺の部屋でディメンションウォーズの説明をしているところ。
合間合間でイチャイチャするのは高校生だもん。仕方ないよね?
「私も買ってみようかなぁ」
「まぁ初期ロットはもう売れちゃってるだろうから、葵まで変身することはないだろうし、一緒に遊ぶ目的でならいいと思うよ」
「うん」
SNS作戦はかなりの速度で拡散しているのだが、今だ成果が現れない。
葵も「この赤鬼って勇斗だよね?」なんて画像を見せてくるくらいに拡散しているのにね。
「んじゃカード買いに行ってみる?」
「うん。この辺だとヨーグ堂?」
「まぁ置いてるとは思うけど……」
大手総合商店のオモチャコーナって何気に充実してるもんな。
俺はカードショップでシングルも見たりするからパック買うのもカードショップに行っちゃうんだけどね。
「お、置いてあるな」
「ほんとだ!買ってくるね!」
「あ、いいよ。俺が出すよ」
「え?いいよいいよ。一緒に遊ぶ物だし」
「いや、ここだけの話、アナザー・ワールドから金持ち出してるから無尽蔵の金庫持ってるのと同じなんだよね」
「えぇ……このちーとやろう!ずるいぞ!」
ペシッ!ペシッ!と俺の背中を可愛く叩く葵が大変に可愛い。
「ま、だから気にせず奢られなさい」
「どうせ将来は同じ財布だし?」
「ひぃ!鬼嫁に尻に敷かれるぅ」
「もう!鬼は勇斗でしょ!おにわーそとしちゃうぞ?」
「閉め出しだけはご勘弁を~」
「ふふふっ」
「あはは!」
カードゾーンでイチャイチャすると大きなお兄さんから舌打ちされるぞ!
ゲームコーナーもダメだからな!
レジのお姉さんに生暖かい目で見送られた俺たちは再び我が家の俺の部屋へと移動した。
「ウィザードのストラクチャーで良かったの?」
「うん。だって勇斗がオーガ、竜也さんだっけ?勇斗のお友達の大学生さんがソルジャーなんでしょ?」
「うん」
「なら消去法でウィザードを選べば満遍なく遊べて面白いかなって」
「そっか……そうだね」
カードゲームなんて初めは各種ストラクチャーを買ってブースターパックを買い込んでデッキを強化するからなぁ。
実際俺も竜也もルール上、同名カードは三枚まで!という制限のもとストラクチャーは三セットずつ買ったし、ブースターパックなんてダースで買って最低でも全てのカードが三枚ずつ揃っているようになっている。
まぁ命懸けだし、カードプールの全てが生命線になりえる可能性があれば買わざる負えないよね。
とは一言もいわず
「それにしても三箱も買わなくても良かったんじゃ?」
「一箱に入っているのだけだと必須カードが足らないからね」
「ふぅん。何だか難しいんだね」
「知的スポーツだからね!」
「ふふっ」
「あは!」
そうして床に拡げたカードを説明し、その後滅茶苦茶デッキを組んだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます