第15話 普通だよ!

「っていう事があってさ」

「へぇ。っていうか大学生と遊んでるんだ。勇斗は凄いね」


 ここは学校の屋上。

 現在は昼休みで俺は彼女になってくれた葵の手作りお弁当を一緒に食べていた。

 話題は最近竜也と休みの日に神奈川まで遠征して中華料理を食べてきたっていう話だ。

 といっても、移動やらはアナザー・ワールドを通してバイクで移動したりしているから、その辺は竜也の車という設定にしている。


「でも、休みは私とも一緒に遊んで欲しいなって……」

「もちろんさ!むしろ誘わなくてごめん!」

「ううん。ねぇ、良かったら来週ショッピングモールに行かない?かな?」

「いいね!行こうぜ!」

「うんっ!」


 こうして俺は人生初のデートを取り付けたッ!

 喜びのあまり竜也のマンションに遊びにいくと


「坊やだなぁ」

「うふふ。ほんと、可愛いわね」

「くそう!バカにされてる!」


 竜也と居合わせたあかねさんに微笑ましい物を見るような目を向けられた。


「そういえば、進捗はどんなかんじ?」

「SNSの伸びはいいが……」


 ・これは見事なCG!

 ・コスプレにしては角がリアルだな

 ・西洋風桃太郎かな?

 ・おにわーそとー


「コスプレ扱いかぁ」

「今度はどっかの山中で殺陣でも撮影するか」

「たて?」

「殺陣っていうのはあれだ、簡単に言うと時代劇のチャンバラだな」

「一気にいい加減に聞こえてくる言葉のセンス」

「まぁそのチャンバラごっこを適当な山中で俺とお前でやって、あかね達に撮影してもらおうかなって」

「じゃあコテージを借りたほうがいいかしら?」

「いいね!終わったらバーベキューでもするか!」

「葵も連れて行ってやりたいけど……俺、変身すること秘密にしちゃったんだよなぁ……」

「ゆー言っちゃいなよっ!」

「そう・そう!言っちゃいな!」

「急に下手くそなラップ!?」

「勇斗は・彼女に・秘密しゅぎい!」

「彼女は・秘密に・ビンビン!」

「「ビンビン!」」

「うざっ!言うわ!言ったるわ!だからその下手くそなラップもどきヤメろし!」


 言えるかな~?言えるかな~?と煽る二人に背を向けて俺は竜也のマンションを飛び出した!



 その翌日の昼休み



「ちょっと帰り付き合ってくれないかな?」

「放課後デートっ!?」

「あ、いや……うーん……」

「え、ちがうの?」

「どうだろう……なんとも言えんけど、とりあえず放課後クラスに迎えに行くよ」

「うん。待ってる」


 六限目が終了し、帰りのホームルームも終わると、俺は葵のクラスに顔を出した。


「山城葵さん、いる?」


 そう入口でたむろしていた女子に声をかける。


「山城さ~ん!彼ピッピ迎えに来たよ~!」

「彼ピッ!?」

「勇斗くん!」


 はにかみながら小走りで来た葵がにこりと笑う。

 めたくそ可愛い。


「行こうか」

「うん!」


 手を取り、恋人繋ぎでクラスを後にする俺たちの背後からは


 あんな細マッチョな彼ピ欲しいいい~

 体育のときに見たけど脚めっちゃ締まってんの、きっとアレもデカいのよ。うらやま~

 可愛い系の顔で下半身は凶暴とか最高かよ~


 めっちゃ大声で騒いどる!

 ってか高校一年生女子!男子の下半身をもう知ってるのはまずいと思います!


「ねぇ……」

「ん?」


 手を繋いでいる葵がおずおずと上目遣いで俺を見上げ


「その……凶暴……なの?」

「ぐはっ!」


 葵さんあなたもですか!


「その、違うのよ!あの、デカいと裂けるってみんなが言うから、そのあの」

「いや、ふ、普通だから!コレくらいだから!」

「ふええ……そんなの入らないよぉ……」


 目をグルグルと回してそう聞いてくる葵に、俺も変に緊張して口走ってしまった挙げ句、手でサイズを表現してしまった!葵は顔を真っ赤にして今にも卒倒しそう担っている!ああ!気が付けば俺のズボンがぁ!


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