第14話 ウィザードを探せ!
アガザイを倒した俺と竜也は現実世界に戻り対策を立てることにした。
「ウィザードが居るはずなんだ。なんとか合流出来ないもんかなぁ」
「影も形もないんじゃね……」
「ネットでも特にこれといった情報もないしなぁ」
竜也のハーレムマンションの一室。
俺たちはあーでもない。こーでもないと頭を抱えている。
そんなとき、一人の女性がカップを持って現れた。
「難しい顔してないで、一度お茶したら?」
「ん?あぁ。そうだな。ありがとう」
「どういたしまして。えっと、君もどう?」
スラリとした美人が俺ににこりと微笑んで紅茶を入れて手渡してくれた。
「ありがとうございます」
「ふふ。かわいい顔ね?いくつ?」
「こら、あかね。無垢な十五歳につば付けない」
「あら?嫉妬してくれるの?あなたには他にも沢山の女のコが居るのに?」
「そりゃあ……美人は独占してなんぼだからね……苦っ」
「うふふ」
どうやら目の前のスレンダー美人はあかねさんと言うらしい。
しかし竜也の顔……この紅茶飲んで大丈夫か?
「ああ、君の紅茶は大丈夫よ」
「!?」
「顔に出てたわよ?ふふっ」
俺は慌てて紅茶を一口くちに含む。美味い。
「あかね……お前なぁ……」
「あら?紅茶の味が分からないなんて可哀想ねぇ。君もそう思うわよね~?」
「いや俺に振られても」
ジトリとあかねさんを竜也。それをあかねさんは「うふふ」と受け流し、にっこりと俺に極上の笑みを向けてくる。ちょっとだけ怖い。
「まぁいい。お陰で少し頭がスッキリした」
「お役に立てて良かったわ」
渋い顔をして、きっと強烈に渋いはずの紅茶を一気に喉に流し込み、眉間に深いシワを作りつつ
「こちらからSNSを発信してみよう」
竜也はおかしな提案をしてきた。
「んん?」
「ウィザードは探しても見つからない」
「そうだね?」
散々探したけど見つからなかったもんね。
「ならばウィザードの方から見つけてもらうのはどうだ?って話さ」
「お、おお?」
「鈍いな。俺や、お前が変身した姿をSNSに載せる」
「ええ!?」
「勿論身バレなどが無いようにアカウントは捨てアカを使用する。あとは俺の彼女達に発信してもらえばいい」
「なるほど?」
「彼女達は中々の数のフォロワーを持っている。拡散してもらえばウィザードの目にも留まるかもしれないだろ?」
つまり
変身ヒーロー状態の写メをSNSに載せる→六人……の彼女さん達に拡散してもらう→ウィザードが見つけて連絡をくれるかも!?
「……………竜也は天才か!」
「お前は本当に高校生か?」
「去年まで中坊だったんで」
でへへと笑って誤魔化した俺は紅茶を一口する。
「んじゃ勇斗。早速変身してくれ」
「おっけー!」
俺は立ち上がるとデッキを取り出し、アクティベイトカードを──
「っと待て待て!この部屋でやるな!部屋が荒れるだろうが!」
「危ない!忘れてた!」
「ほんとにこの脳筋馬鹿は」
「あはははは!」
竜也が借り上げた高級マンションのワンフロア。
踊り場に出て仕切り直すように変身する。
【アクティベイト】
【チェンジ・オーガ】
ドギュン!と赤い光の球に包まれた俺。珠が弾けるとその姿はおとぎ話に出てくるような赤い鬼。
腕、脚、胸が膨張し、鋭い角が額から天に向かって伸びていた。
その姿を見たあかねさんが一言
「悪者っぽいわねぇ~」
「アハハハハ!」
「こら竜也!笑うな!」
「アハハ!ハーハハハハハハ!」
指差して涙を流しながら転げ回る竜也を蹴り飛ばさなかった俺は自分を褒めてやりたい!
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