第4話 新たな戦士
「おおおおお!」
俺はコンボーを振るい、怪物に止めを刺す。
一月もすると変身ヒーローにもすっかり慣れた。
学校ではちょいちょい腹痛を起こしてトイレに駆け込む俺は腹が弱い系男子の地位を欲しいままにしているが、ちっとも嬉しくない。
隣に座る女子からは大丈夫?と胃薬を渡される始末。クソっ!
体育の授業だけは楽しいものとなった。
オーガとなった俺は都度筋肉が増え、変身を解いて元に戻ると肉体も元に戻るのだが、筋肉が明らかに増えているのだ。
オーガの時みたいに丸太とは言わないが、高校一年生にしては随分と締まった肉体になっていると思う。
実際に体操服に着替えると、中々の胸板に、割れた腹筋。見苦しくない程度に鍛えられた腕とかなりの美ボディとなっていて、女子の視線は独り占めだ。
バスケの授業では身長百七十ちょいの俺が人間離れした跳躍力でリバウンドしたボールをそのまま片手アリウープ!女子達の黄色い声が咲き誇る。
「筋肉やばぁ!」
「ダンクかっこいい~」
「チラ見せ腹筋エロいわぁ」
これはモテ期ですわガハハ!
「くっこの!」
「腹壊してしまえ!」
「女子の前でうんこぶりぶりしてしまえ!」
男子のヘイトもやばいっすわ!ガハハ!
そうして順調に高校生活を送りつつ、変身ヒーローをする日々の中
「ギチギチギチギチ」
「またか!」
懲りずに現れたG型の怪物を屠ったその時
「ギャシヤァ!」
「ぐあ!?」
突然背後を強襲された俺は民家の壁に激突する。
「くそっ!痛えじゃねえか!」
「ギャギャギャ!」
現れたのはいつものヤツとはまるで違う、カマキリの腕のような物を持った怪物だった!
【コンボー】
「でやぁ!」
「ギャギャギャ!」
コンボーを召喚し、すかさず叩きつける!
ギャリッとコンボーとカマが火花を散らすが怪物はまるで怯まない。
「ギャ!ギャ!」
「くっ!このお!」
両手のカマを振るう怪物に対して一本のコンボーではあまりにも不利。しかも重量があるから軽々しく振り回せない!
なんとかコンボーとバンクルでカマを防いでいるが、徐々に俺の身体が攻撃のスピードに間に合わなくなりカマに刻まれていく。
「ギャギャギャ!」
「舐めるな!」
俺はコンボーをバットのように持って大回転しカマキリ怪物を無理やりぶっ飛ばして距離を稼ぐ!
「これで決める!」
【ストライカー】
俺は攻撃カードをデッキに読み込ませる。
拳に力が溜まっていくのが分かる。そしてその後どう動けばいいのかも、カードが教えてくれているようだ。
「うおおおおお!」
俺は拳が届かない距離にも関わらず、カマキリ怪物に向けて突き出せば、拳大の火炎弾が発射された。
直撃を受けたカマキリ怪物は断末魔の悲鳴を残して爆発四散した。
「新たな怪物か……少し梃子摺ったな」
【ヒール】
回復カードを読み込み傷を癒やす。
「さて、戻るとするか──ッ……何だ!?」
『キィィィィィン!』
アナザー・ワールドで耳鳴りを受けたのは初めての出来事だった。
変身を解かずに意識を戦闘時のソレへと切り替えた俺は民家の壁からアパートの上、そしてマンションの上へと飛び上がる。
「何処だ……」
おそらく新手の怪物が現れたのだろうと俺はマンションの高さを利用して眼下を見下ろす。
オーガに変身している時の俺の視力はバカみたいに高く、かなりの範囲を見渡す事ができる。
やがてキラリと光る小さな破砕光を確認した俺はオーガの跳躍力でその場へと急行することに。
到着したその時、その場では怪物と──甲冑を纏った戦士が戦っていた。
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