成果


俺が村に受け入れらて一か月がたった。

俺は無事にこの村の小さな教会で十字教に帰依することができ、このおかげか村人たちの視線も少しだけ和らいだ気がする。


この一か月、貸した10体の軍馬に重量有倫犂を引かせて開拓村の原野を開墾したおかげで、なんと農作地が3倍にも増えた。さすがの村人たちも、短期間でのこの成果に驚愕とともに俺の存在価値を認めたようだ。


だがタタール人としての警戒は完全に払しょくされたわけではないと思う。

表面上は友好的、というか敵対感情を見せてないだけで心の中で何を思ってるかまでは分からない。そして人は歴史を繰り返すのだ。ユダヤやロマ人への迫害を見れば、俺も完全に油断するわけにはいかない。人権意識が皆無なこの時代で、少数民族の俺が生きるというのはこういう事だ。


また農作地の多くは重量有倫犂で開墾を行った、次男三男などの土地を持たない40名の小作人に割り当てられた(一部は旦那を失った未亡人にも)彼らの年収見込みは1000ペニー(200万円)と土地を貰う前の30倍以上に膨れ上がった。

村人からの感謝も村長を除けば、この層が一番大きかった。

それ以外の農家は来月もちこしとなる。


また交代制で一部の軍馬は土慣らしのため馬鍬にも回し、耕作の効率化が行われたことで村人の負担も軽減することになった。


そして俺は村人が俺の馬召喚を評価し始めたのを見計らって、無料の乗馬レッスン教室と、軍馬の短期レンタルも開始した。レンタル期間は最短半日・最大7日制。

料金は半日と一日は1ペニー(2000円)2日目以降はそこから+1ペニーとして、

一人当たりのレンタル数は一頭までとした。

ただ木と革で作った簡易的な騎座だけで、鐙もないので、全力では走れない。

それでも移動時間は3から4倍にまで短縮された。

これによって村と耕作地との間や、よその村や都市間でのてごろな移動手段として、短期レンタルは急速に村人たちのあいだで使われるようにった。短期だから値段も高くなく、あまり余裕のない村人たちでも借りれたのが大きかったと思う。


これにより各村人は行商人の手を介さずに、物価の高い都市部に直接売ることが可能に。仲介業者の減少で新しい土地がえれなかった農家も収入が2割増加した。

このおかげで俺はひと月で200ペニーもの銀貨が懐に入り込むことになった。


またこの一か月、俺は村人の警戒を避けるために大きな動きは起こさなかった。

教会には毎日お祈りに行き、基本的に二日に一回の無償の開墾作業。それ以外の日の日中は乗馬の練習と、買収した狩り人からの弓のレッスンを受けていた。騎馬民族なのに弓が使えないのかと村人たちからは怪しまれたが、もと敵部族の王族であったため長い間幽閉されていたからだと何とか誤魔化した。


すると今度はなぜ弓の練習をするのかと警戒されるようになってしまったので、来る怨敵のタタールを撃ち滅ぼすためだと言ったら、村人からは称賛の声が上がった。


これ以降、今だお世話になっている村長一家での食事が少しだけ豪華になった。おそらく用心棒代わりにでも利用したいのだろう。


あとここ最近ずっとマリアが妙に優しい、というか好意的だ。

たぶん俺の能力に目を付けた村長の仕業だと思う。

いやもしくは本人の意志かもしれない。


この家はマリア一人しかいない。将来の旦那は必然的に村長一家を継ぐことになる。悪く言うならお家乗っ取りだが。


そして彼女はもう17歳でこの時代では結婚適齢期になっている。

外国人とは言えこんな能力を持っていたら引き込もうとするのだろう。

村を見てて感じたがみんな現金すぎ。


やっぱこの時代はみんな貧しいからこそ、男も女もワンチャン狙ってるハングリー精神がスゴイのだ。


そしてこれは俺にとってもいいこと尽くめだ。正直溜まってんだわ。

こっちは中学から今に至るまで毎日2回以上やってるんだぞ。

しかも二日以上できないと、鼻水は止まらなくなるし、不眠症にもなる。


でもこっちじゃ普段は客間を使ってる訳だけど、ドアなんてないからプライバシーもくそもない。それに客の立場だしマジやりずれぇ。


しかも夜に耳をすませば、隣の部屋で毎日のように自慰行為にふけるマリアの喘ぎ声が聞こえるし、あいつのケツマジヤベェから見てるだけでチンチンイライラしてくんだよ。


この一か月、なんどあいつの喘ぎ声を聞きながら、

あいつを犯〇す妄想で抜いたことか。


おそらく近日中にでも来るだろうな。来ないなら俺から行ってしまおう。

あの感じなら絶対に押せばいける。童貞の勘違いじゃない。

だって普通は「あなたみたいな人が旦那さんだしたら…」とか言わないでしょ。

髪を耳元の後ろにかき上げながら、上目づかいで言わないでしょ。


あと屋敷の中でよくなにかと物を拾うそぶりをしながら、俺の前でケツを突き出したりしないでしょ。もうそれ明金昭だよ。これ明らかに誘ってるだろメスが。

俺の中のオスがそう叫んでる。今ならいけると。

そうだ。待つ必要はない。もう今日の夜いこう。


俺は最近の小説の鈍感系とか草食系のような女々しい、こじらせキモ童貞弱者男性ではない。まぁ童貞ではあるが。


俺だって地球でチャンスがなかっただけで、ワンチャン狙ってるのだ。


あと真面目な話しに戻るが、このころになると俺の軍馬の存在が少しずつ他の村や都市部に知れ渡るようになっていった。それを知った彼は昨日、村長に頼み込んで彼と一緒に西と南北の村々へ営業しに行った。


タタール人の亡命王子もとい、強靭でとても早い馬モンスターを召喚できる魔法使いの存在はこちらさんでも有名になっているそうで、村長といっしょに行ったおかげもあり、無駄な争いごともなく、商談は成立した。

スムーズ決まったのは俺たちのいる東の村の成功例があったのが大きかったようだ。

たった一か月で農地が3倍になるのなら誰でも借りるだろう。

各村の契約内容は――軍馬一頭につき10ペニー。それを毎月10体を貸す。

契約の更新はひと月ごとで、解約は自由。契約の更新手続きは東の村で行い、その際に確認のため借りた軍馬を連れてくること。軍馬による事故や損失はレンタル主が全面的に負うこと。窃盗や売買、貸出、軍事目的で使用したら契約不履行として強制的に貸した軍馬は消すということで落ち着いた。

この際に軍馬の知能は高いので、契約以外で使用しようとしたら暴れて相手を蹴り飛ばすとくぎを刺しておいた。


この商談のおかげで俺の月収は400ペニー(80万円)にまで膨れあがった。

農閑期もあるが、それでも年収4000ペニー近くは行きそうだ。

これで俺は村一番の大金持ちになった。


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