第7話
「北方騎士団が剣、ショルツ・ド・バイヨンと申します、パトリシア殿下。」
僕の
「殿下と私を呼ぶな、私はここでは騎士団長だ。それともあの副団長を
「はっ、
僕がたどたどしく団長と呼ぶと、パトリシア殿下は満足げに頷き、とんでもないことを聞いてきた。
「それで、ショルツよ。お前がグウェンドリンがいうところの竜殺しの騎士なのか?」
とりあえず後でマルグレット卿は
マルグレット卿が僕が竜を退治したなんていうからこんな目にあうんだ。パトリシア殿下に目をつけられるなんて、面倒ごとの予感しかしない。絶対に嫌だ。
「はっ、おそらくはグウェンドリン卿の
そうすれば僕はいたいけなグウェンドリン卿を
それに、こんな
そう僕が
「ほう、ではこの私が今着ている
しまった!
確かに、あの竜退治の後、牙やら骨やら
しかし、それがまさかパトリシア殿下の鎧となっているなどと、誰が想像できるというのだ。
「あ、いやそれは言葉の
パトリシア殿下に
「まあいい、実はお前に頼みがあってな。
………この私に剣を教えてくれないか。」
はい? 僕の頭が真っ白になる。この王女、頭がおかしいんじゃないか?
一瞬、その場の全員が
「なっ、何を
オルドラン卿が
おいおい、まさかこの王女様はよりにもよって
僕は副団長がなぜパトリシア殿下をお
僕は頭を抱えたくなる。こんな無神経な騎士団長が実権を握ったら三日で暴動が起こるぞ。
「それに、剣技
こんな田舎騎士の
オルドラン卿の言葉はまったくの正論だった。王族が僕みたいな
王族は基本的に戦場に出ず後方で指揮をとるのが役目であるし、剣術は
僕の刺突剣を主体としたノーガード戦法などもってのほかだ。
「お言葉ですが、我が剣技は刺突剣を主体とした防御軽視の
僕もオルドラン卿に続けて
まさかオルドラン卿に僕が
確かに、僕だってできればパトリシア殿下に逆らいたくはなかった。だが、物事には
オルドラン卿が我に返ったように
「この通り、ショルツ卿も辞退なさっている。殿下、
しかし、パトリシア殿下はオルドラン卿の忠告もどこ
「そうチクチクと小言を言うな、オルドラン。分かっている、お前からも引き続き剣は教わるさ。
ただ、私は竜殺しの騎士から剣技を学んでみたいのだ。」
オルドラン卿が必死に食い下がる。
「しかし、
パトリシア殿下が
「分かった。オルドラン、お前数日後にでもショルツと試合をするがよい。お前と戦ってその技量を示せばお前も文句なかろう。
もしお前が勝ったなら私はショルツから剣を学ぶのを
その後を
なんだかパトリシア殿下は問題の本質を分かっているようには見えなかった。
そもそも王族がこんな田舎の騎士から剣を学ぶこと
しかし、もうパトリシア殿下が聞く耳を持つとは思えなかった。偉い人に目をつけられると本当にろくなことにならない。僕は
僕とオルドラン卿が試合をするという
「ショルツ卿、また
やつれた様子の副団長が僕をギロリと
僕は反論したくなったが、ぐっとこらえた。
「まあいい。オルドラン卿が必死に説得なさったが、どうも殿下の決意は
試合は明後日に、城外の草原で
「というと、つまり
僕が身も
「
結局、それが意味することは変わりはしない。つまり、事前に試合の流れを決めておいて、僕がわざと負けるということだ。
「オルドラン卿にも協力してもらい、
まず、試合が始まると同時にオルドラン卿がショルツ卿の剣を
明日の試合の
扉が
「これは、パトリシア殿下におかれましてはご
副団長の言葉を
「お前たちはここでいったい何をしていたのだ!」
「はっ、
副団長がうまい言い訳を告げる。しかし、それもパトリシア殿下の耳には入らないようだ。
「シナトラ、貴様はまたそうやって私を
なんでまた、こういう時に
僕も、副団長も、オルドラン卿も、パトリシア殿下の
パトリシア殿下がプルプルと肩を
「ええい、うるさい! お前たちはどうしていつもこの私のいうことを聞かんのだ! 分かった、分かったとも。
ショルツ、お前が負ければそこのシナトラ副団長をこの騎士団から
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