第11話 みちのうえ

 9月16日 金曜日


 私の名前は「神山りの」

 創夜と一緒の高校に通う女子高生だ。

 私は創夜のことが好きだ。

 いつも話かけてくれて、いつもなんだかんだ真面目で優しくて、付き合ったらとても楽しいと思う。

 そんな彼が横断歩道を渡っているところを見て……


 イヤフォンを付け、曲をスタートさせた。

 大好きなフレーズが詰まったイントロが始まり、ちょっとテンションがあがりながら道を歩く。

 Aメロに入った頃に横断歩道が見えてくる。

 このペースだと横断歩道に着く頃には青だな。

 信号を遠目に見ながら、そう考察する。

 予想通り、横断歩道に着いた時に青になったので、「よし」と小声でつぶやき渡る。

 こういう小さすぎる幸せを感じるのも大事。

 横断歩道を渡り始め、サビが終わる直前の直前の頃に、俺は突然背中を押された。


 咄嗟に足が動いた。

 信号無視の車だ。

 私は自分が死ぬことも厭わずに。

 ただ世界はだった。


 押された時、押した人を見ることが出来た。それは必死な顔の「り……/,':」''」「'、。_.'*・


 人が最近死んでいなかったのは、もしかしてこの日のためだったのだろうか。


 死ぬ!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る