第8話 放課後

学校が終わり帰る時間になった。

なんだかんだいって、一緒に帰る人は3人ぐらいいるので1人で帰ることはほとんどない。

陰キャの中では話せる方なのが俺だ。

「お前今日の物理分かった?」

「公式は覚えた。だがgとかtがなんだったか分からん」

「意味無!」

陽がツッコむ。

はどう?」

俺は唯一の話せる女子の「りの」に話しかけた。

「私は全然理解出来たよ」

「え!今度教えてよ!」

なんか気分が良いと『今度教えてよ』とか言えるが、"今度"とか結局ずっとやらないようなもんだ。

「教えるもの?覚えるものじゃない?」

「そりゃそっか、、でも覚えることも理解するのと同じじゃない?」

「まぁそうだけど」

しまった…次の話に繋げない話し方した…

まだ会話苦手だな。

りのは結んだ髪を触っている。気まずいようだ。

やっぱり陰キャ同士、直ぐに会話が止まる。

「そ、そういやさ!面白いゲーム見つけたんだ!」

ちょっと言葉に詰まりながら陽が話しかけてきた。

「何?どんなの?」

「英語ばかりで読めないんだけどこれ!」

陽が早口気味でスマホの画面を見せてくる。

そこには『わざと下手にプレイしてイラつかせる』アプリの広告で見たことあるやつがあった。海外版だしそりゃ英語だわな。

「それ、もうインストールした。そして辞めた」

「え!」

りののたった一言に驚く陽。

「えー、俺もうステージ80ぐらいまで行ったのに」

「ハマりすぎだろ」

「私10ステージで辞めた」

ああいうのは、ゲーム内容は面白くても広告が多すぎて嫌になるってのに、広告消す裏技でも見つけたのかもしれない。

そして会話は止まり、そのままさよならとなった。

1人で工事現場の音がする道を歩き帰る。

(危ないし今度から向こうの道歩いていくか…)

そんなことを思ってイヤフォンを耳に付け曲を聴きながら家に帰った。


君は……

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る