第5話 時間潰し3

「オ"オ"オ"オ"オ"ォ!!」

窓から顔を出して見るとドラゴンが咆哮をあげ、ペガサスが飛んでいた。ケンタウロスもいる。

「すげー、すげー」

もう「すげー」しか言えない。

「なんで私たちにあった時よりも驚いてるの?」

「妙に人間味あるから」

「悪口なのかなそれは」

結局、リノエルのとこまで来たルフエルが納得しない顔をしている。

「ほんとすごいよこれ!なぁリノエル!」

リノエルに反応を求めると小さく「うん」と言って頷く。


ドラゴンも見飽きてきた頃にルフエルが聞いて来た。

「いつの間にか馴染んでるけどさ、学校ではどんな感じの人だったのかな」

「あれ?知らないの?」

心読めるんじゃないのか?

「知らないよ。だって君が「生きたい」と思っていることしか私たちは分からないしね、てかまだ時間かかるから暇つぶしに…」

なるほどね、まだ1日も経ってないしなぁ。

「よし、じゃあまず僕は、陰キャでも陽キャでもない感じで、その前に「陰キャ」とか分かる?」

「分かるよ、この前の人に説明された」

「そう、まぁそんな感じで、友達はまぁまぁいるけど、クラスの人全員から注目されるのは苦手だったり、誰にでも話しかけられるわけではなかったのよ」

「うんうん、それでどんなエピソードがあったりするの?」

そこも聞くかぁ。

「えーと、サッカーやっているとすんごい頻度で顔にボールが当たってサッカー嫌いになったり、ゲームセンターでメダル1枚で、友達と勝負して勝ったり、友達と2人揃って間違えて女子トイレ入ったり…」

「うんうんそれで?」

「いや、日常的なことはあんま覚えてないから衝撃的な出来事ぐらいしか覚えてない、あ、あとスマホ没収されたり、大天使「モウカエル」を作って文化祭でコントしたり」

「何だよ大天使「モウカエル」って」

思い出の天使だぞ、滑ったけど。

「あ、もう話すことないなぁ」

「えー」

もう話すことといったら、黒歴史小説くらいしか無いよ。

「そういや、この世界の1日ってどうなってるの?」

「12時間」

「24時間じゃないのか…」

「天界に行くと4時間ぐらいだよ、ここはその天界と地上の狭間くらいだから12時間」

短いのはちょっと助かった。

「つまりあと7時間ぐらいで1日が終わるの?」

「外見てみなよ」

言われるがままに外をみる。

「灰色!?」

「夕方とかじゃなくて直接夜の黒に近づくよ」

「黒?青みがかってたりしないの?」

「夜は天界も黒くなるからなぁ、普段は青色なんだけど」

「つまり空の青って天界の色だったの!?」

「天界が青に合わせただけかな」

「なんで青なんだろう…」

「色が作られた時に初めて出来た綺麗な色が青だったからだったと思う。」

なるほど、三原色が最初に作られたのかな。

「ちなみにもう私も話すことないや」

暇で死ぬなそれ。

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