第59話 深野さん(女神)の告白……
報告を終え、新たな依頼に思いを馳せながら、私は自宅で早めに就寝した。
で、早朝4時半である。私のスマホが鳴り止まない……
ローレンよ、来れぬと分かったからと言って電話攻撃は非常に迷惑だぞ。だが、私はこんな時の対策をタカフミさんから既に授けられていた。
「必殺、着信拒否!!」
コレでローレンは話中のコールを延々と聞く事になるだろう。と、思っていたらマインの連絡攻撃がっ!?
【タケ〜、謝るから〜、俺をアキバに連れて行ってくれ〜(T_T)】
いや、顔文字使っても可愛くないからな、ローレンよ。私は即座に返信を打った。
【ローレン、今週は忙しいから無理だ。暇になったらコチラから連絡する。それまでは大人しくしておけ。】
【了解!】
こうしてローレンからの攻撃は一先ず落ち着いた。早朝から起こされたのだが、今日はカオリちゃんと
なので既に目が覚めきった私は早めに身支度を整える為に布団から起き上がった。
そしたら我が家の勝手口に付けたチャイムが鳴った。こっち側から来るのは弥生かタカフミさんしか居ない。
私は勝手口に向かった。すると弥生とタカフミさんが2人揃って立っている。
「おはよう、どうしたんだ? こんな早朝から」
私が2人にそう問いかけるとタカフミさんが頭を下げてこう言った。
「早朝からすみません、タケフミさん。でも弥生と2人で話し合ってどうしても早めに謝罪しておきたくって……」
ちょっと待て。謝罪? 何か私に謝罪しなきゃいけない事をタカフミさんがしたのか? 私自身には何のことか分からないのだが。
「えっと…… 何かありましたか?」
私がそう聞くと弥生が喋りだした。
「取り敢えずタケ
そう言われたので2人を家の中に招き入れた。そして、
「ゴメンね、タケ
弥生がそう言ったので、2人がやっとなんの事で謝っているのか分かった。
私は笑いながら2人に言った。
「仕事の依頼ならば私は気にしてないよ。むしろ今までスターフェスばかりからお金をもらっていたのが心苦しいぐらいだったから。だから、別に2人が謝るような事じゃないよ」
私がそう言うとタカフミさんがホッとした顔をした。
「良かった、相川さんが言ったとおりタケフミさんは怒ってなかった……」
感謝こそすれ怒ることはないですよ、タカフミさん。そして、私はついでだからと2人に言っておいた。
「そんな事で怒ったりしませんよ、タカフミさん。それよりも、2人には重要な話があります。いいですか?」
真剣な顔で私はそう言い、少し
「おめでとう、2人とも。弥生のお腹には新しい
私の言葉に2人は顔を見合わせ、そして
「うそ? ホントに、タケ
そう聞く弥生に私は頷く。2人は嬉し泣きを始めたが、少し恥ずかしそうにしながら言った。
「グスッ、そんなに激しくしてないわよ!」
「ぼ、僕はそんなに激しい方じゃ無いので……」
私はクスクス笑いながら2人に言う。
「フフフ、それは私には分からないからな。まあ、まだ安定期にも入ってないどころか、産婦人科に行っても分からないぐらいだろうけど、早めに伝えておこうと思ってね。さあ、せっかくなんだから2人でその喜びを分かち合えばいい。私は今から支度して東京に向かう用事があるから」
私はそう言って2人を家に帰した。2人は私に何度も有難うと言いながら最高の笑顔で家に帰っていった。
さてと、午前6時を過ぎたので朝食を作り食べた私はシャワーも浴びて完璧に心身ともにキレイにした。時間の約束はしていないが、早くても大丈夫な気がして、私は桧山さん宅の庭に誰も居ないと確認してから転移した。庭は周りを高い塀に囲まれているので、見られる心配も無いので気軽に転移したのだが、中からバタバタと音がしている。
どうやらカオリちゃんには直ぐに気づかれたようだ。
庭に面した扉の一つが開いて
「タケフミさん!! 玄関から来て下さいよ!」
と、カオリちゃんに怒られてしまった。反省します。
「ゴメンよ、カオリちゃん。ここなら誰にも見られないと思ってね」
そう言うと、カオリちゃんはまだ少し怒った顔で次のように言った。
「勇者タケフミなら、周りに気づかれずに転移するぐらい朝飯前でしょっ!」
ああ、この口調…… 懐かしい。私的にはもう二度と会えないと思っていた別れだったので、不覚にも涙が零れそうになる。別れてまだそんなに時間は経ってないが、それでも突然過ぎたので
目頭を素早く抑えて私は言う。
「そう怒るな、魔王カーナ。
私の口から飛び出した名前にカオリちゃんは相好を崩した。
「フフフ、やっと呼んでくれた。初対面で気づいてくれると思ったんだけどな」
それは本当に悪かった。気づくべきだったのだが……
「クスッ、良いのよ。私も魔力を消してたし、私の方が魔力の取扱はタケフミよりも上手だしね。取り敢えず家に入って、ママも待ってるから」
促され、庭から私は家にお邪魔した。そしてリビングで待っていた
「おはようございます、朝早くからお邪魔してすみません」
「いいのよ、鴉さん。私も
さてと、どこまで話をしていいのだろうか? 私が悩んでいたら、カオリちゃんがそれを察して教えてくれた。
「大丈夫よ、タケフミ。ママは全部わかってるから。私だけじゃなく、あの神からも神託があったそうだから」
その言葉に驚いて
「フフフ、だってこの娘を身篭った時に神様とこの娘自身から教えて貰ったんだもの。鴉さんが異世界に拉致されてからの活躍も、そしてカオリちゃんがその世界で魔王だった事も全て知ってたんですよ。それに、地球でも鴉さんが異世界で手に入れた
私は驚愕しながらコクコクと頷いた。
げに恐ろしきは一流と言われる女優の演技力かなと思いながら。
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