第40話 遂に会える ……のか?
報道された当初はランドールの2人も当事者として報道陣や雑誌記者に追い掛け回されていたが、それも直ぐに落ち着いた。何故なら、更に大きな事件が待っていたからだ。
それは……
家宅捜索で押収された中には私が確認した拳銃が、もちろんあった。
許可証のない拳銃…… それも社長室の机の中から出てきたので、緊急逮捕されたレイヤ
またたく間に報道番組はその事一色になったのは言うまでもない。
ここにきて、株式会社であったダニーズ事務所は緊急株主総会を行い、その日のうちにレイヤ
事務所所属のタレントの逮捕のみならず、社長の逮捕によりダニーズ事務所が今までに築き上げてきた芸能界での地位は地に落ちてしまった。
だが、ダニーズ事務所所属の男性アイドルの多くは亡くなったダニー
それにより首の皮一枚で繋がっているような状態ではあるが、芸能事務所として活動出来るだろうと言われている。
そんな事もあって思ったよりもランドールの2人の周りも早めに落ち着いたので、私は一度自宅に戻る事にした。
戻ってタケシに礼も言わなければとも考えていたので、タカフミさんに急ぎで対処して欲しい用件は今のところは無いと確認も出来たので、一旦戻ってみた。
自宅に転移で戻って19:00になってからタケシに電話をしてみたら、直ぐに出てくれた。
「おう! タケフミか! どうした?」
「いや、今東京から戻ってきたんだが、礼を言っておこうと思ってな」
私がそう言うと、タケシは
「マサシの件か? 気にするなよ。アイツも凄く喜んでたし、俺は連絡先を教えただけなんだし」
と言って私の言いたい言葉を封じてきた。本当にコイツは……
「それよりも、真理に会ってやってくれよ。真理はお前に会いたいらしくてな、帰ってきて連絡があったら教えろって煩いんだよ」
真理ちゃんが? 何かの用事だろうか? こんなオジサンに会いたいなんて用事があるしかないだろうな。
私はそうは思ったので、了承しておいた。そして明日はスターフェスの本社事務所に朝から行くとタケシに伝えて電話を切った。
翌朝、10時頃に着くように家を出た私は手土産ぐらいは必要かと思い事務所とは反対方向に進み、洋菓子店に入ってショートケーキを購入した。
事務所に行くと真理ちゃんが笑顔で出迎えてくれたが、電話対応に追われているようなので邪魔しては悪いと思い、東郷さんと話をしていた。
「タケフミくん、東京はどうだった?」
「東郷さん、仕事でしたから観光などはしてないんですよ。ダニーズ事務所の件で東京中がザワザワしてた感じでしたね」
「おう、それそれ。俺もビックリしたよ。俺の娘なんか推しのアイドルグループの心配をして、夜中遅くまでファンクラブのお知らせを待ってたようだよ」
「ああ、問い合わせも多かったようですね。でも殆どのグループが事務所に残ると表明したので、今はそれほどでもないようですよ」
事務所の奥にある応接スペースでそんな話をしていたら、電話対応が終わったのか真理ちゃんがケーキと一緒にコーヒーを持ってきてくれた。
「タケフミさん、お久しぶりです。お元気でしたか?」
「真理ちゃん、有難う。それにしても本当に教習所を辞めてここに就職したんだね。楽しく仕事してるようで良かったよ」
「はい、東郷さんも居ましたし先輩の香山さんにも良くして貰ってます」
元気そうな真理ちゃんを見てホッとした私だが、何か用事があるのではないかと真理ちゃんに聞いてみた。
「昨日、タケシと電話していた時に聞いたんだけど、何か私に用事があるのかな?」
私の問いかけに真理ちゃんは慌てたように話し始める。
「い、いえいえいえ、な、何も用事なんて無いですよ。ただ、長らくお顔を見てなかったから、お元気なのかな? って思ってたんです」
ああ、何ていい娘なんだろうか。私の知らない所でこうして私の心配をしてくれる娘が居るのを知る事が出来たのも、帰ってきて良かったと思えるようになる出来事だ。
「あっ、そうだ。タケフミさん、社長からさっき電話があって今晩、17:00頃に連絡を入れて下さいって伝言がありました。電話して下さいね」
真理ちゃんがそう伝えてくれたので私は有難う、電話するよと言って、そのまま雑談をして30分ほど事務所に居たが、仕事の邪魔をしてはいけないのでお
「えーっ、もう帰るんですか? もっと居て貰っても大丈夫ですよ……」
なんて真理ちゃんは言ってくれたが、社会人の先輩(コッチでは後輩になるな……)として、それは駄目だと思うので、また今度来るよと言って事務所を出た。東郷さんからはモテるなぁと言われたが、私は誰にモテたのだろうか?
ハッ、まさか香山くんか? そう言えば私の方を熱い視線で見ていたような…… ひょっとしたら彼はそういう性癖なのか…… 注意してあまり近づかないようにしておこう。
自宅に戻ってから冷蔵庫の中を見ると食材が足りなくなっていたので近所のスーパーに買い出しに出かけた。
その時にダンプカーにはねられそうになった女子高校生をこっそり【空間魔法】を使って助けた。その時に、
『ウオッ! 誰じゃ、邪魔しおったのは?』
みたいな声が聞こえたが空耳だろうと思う。
そして、買ってきた食材を冷蔵庫に入れて、ラノベを読んでマッタリとした時間を過ごした。
17:00を少し過ぎたのでタカフミさんに電話してもいいかマインで確認してみたら、向こうから電話がかかってきた。
「今晩は、タケフミさん。実は仕事の依頼がありまして…… 急で悪いんですけど、来月に深野涼子さんが海外ロケに行かれるんですけど、その時にボディガードをお願い出来ますか?」
私は即答した。
「明日、直ぐにパスポート申請してきます。来月ならばまだ間に合う筈ですよね。いや、間に合わなくても大丈夫です。最悪、転移でついていきます!! そのお仕事、完璧に遂行して見せます!!」
私の気合が伝わったのだろう。タカフミさんは
「あ、ああ。大丈夫ですよ。パスポートは間に合いますよ。それじゃ、詳細の話をしたいので、今晩にでも私が一度そちらに戻りますね。19:00頃になると思います。戻ったらタケフミさんの家の方に伺いますから」
そう言うと電話を切った。私は今すぐ出来る事を始めようと、腕立て伏せを始めてしまった。どうやら舞い上がっているようだ……
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