第32話 近衛騎士(ロイヤルガード)

 1人の若者が他の4人に話しかけている。


「なあ、おい。ランドールの2人のスケジュールはおさえたか?」


「シバタケくん、明後日の歌番の収録で一緒になる筈だよ」


「そうか、良く調べたな。ミチヤス、お前にもちゃんと味見させてやるからな」


「うん、有難う。でも僕はどうせならヤヨイがいいなぁ……」


「出たよ、ミッチーの熟女好き」


「えー、ヤヨイは熟女じゃないよ! アカシくん!」


「ハハハ、18のミッチーが30過ぎのヤヨイを熟女じゃないって! 一体何歳から熟女なんだよ?」


「シバタケくん、そりゃ45歳以上でしょ?」


 そんな会話をしながらも5人とも性的興奮を覚えているのだろう。股間が大きくテントを張っていた。


「くぅ〜、早くナミにツッコミてぇなぁ!」


「へぇー、カガミはナミ派か。俺はヒナ派だぜ」


「あの不思議ちゃんがいいなんてお前ぐらいだよ、ムトウ」


 そう、この5人はダニーズ事務所所属の売出し中のグループ【近衛騎士ロイヤルガード】だ。


 リーダー 柴竹優しばたけまさる、25歳。中学の頃から女好きで、コレはと思った女は必ずとしてきた。

 サブリーダー 明石光輝あかしこうき、23歳。シバタケの2つ下で、シバタケの腰巾着として生きている。

 メンバー 加賀美誠也かがみせいや20歳。小学生の頃にムトウと一緒に女子高校生を襲い強姦する。

 メンバー 無藤吐夢むとうとむ、20歳。小学生の頃にカガミと一緒に女子高校生を襲い強姦する。

 メンバー 道安広夢みちやすひろむ、18歳。母子家庭。陰キャで引きこもりだったが、力に目覚めて母親と姉を洗脳して家ではご奉仕させている。


 5人は顔は確かにイケてるが、その性根しょうねは歪んでいた。

 

 リーダーのシバタケは中学の頃から悪さをしていたが、証拠隠滅も上手く警察の世話になった事がない。アカシはそんなシバタケの腰巾着として小学生の頃からひっついている。カガミとムトウはとある地方で小学生の時に強姦問題を起こして、その地に住めなくなり東京に引っ越したが、自分たちの顔の価値を知って、ダニーズ事務所のオーディションを受け、合格した。オーディションの責任者はレイヤ飛夢酒とびむしだった。ミチヤス(ミッチー)は元々は根暗で陰キャだったが、ソレを心配した家族(力に目覚める前)によりダニーズ事務所のオーディションに本人の知らぬ間に応募されて合格した者だ。


 ダニーズ事務所社長のレイヤ飛夢酒とびむしがこの5人をひとまとめにして近衛騎士ロイヤルガードとしてデビューさせたが、今ではわるの噂は業界を駆けめぐっており、周りからは警戒されている。けれども顔だけはいいので、何も知らない一般ファンからは熱烈な支持がある。


 そんな5人だが、辞めダニのコウともつるんでおり、そのコウからヤバいクスリを仕入れてはファンを騙して快楽を得ている。クスリ漬けになったファンも多いがミチヤスによって洗脳されたファンは誰も訴えを起こさないので、警察も手が出せずに内偵を必死で進めている状態だった。


「しかし、ミッチーが居て良かったよな。ミッチーが洗脳してくれるから俺たちはこうして好き勝手できるんだからな」


 ムトウがそう言いながら最年少のミチヤスを持ち上げる。


「フフフ、そうだよ。4人とも僕に感謝してよね。僕が居ないと既に捕まってる筈なんだから」


「ケッ! 勘違いすんじゃねぇぞ、ミチヤス! お前が居なくても俺は証拠隠滅は得意なんだよ! ただお前に任せるとラクだからさせてるだけだっ!! そこを間違えるなよ!」


 シバタケがそう言ってミチヤスを脅すと、


「わ、分かってるよ、シバタケくん…… (クソっ! 機会を見てコイツも洗脳してやるっ!)」


 内心では悪態をつきながら、腕力では負けるので素直にそう返事をした。


 この5人はミチヤスを除いて、無意識ながらそれぞれスキルが覚醒していて、シバタケは【魅了】と【剛腕】。アカシは【追従】と【隠蔽いんぺい】。カガミは【性技】。ムトウは【快楽】。ミチヤスは【洗脳】と【無抵抗】を意識はしてないが覚醒させていた。いや、ミチヤスだけは【洗脳】については意識している。そして、5人とも自分たちの快楽の為に無意識にスキルを使用してそのスキルを鍛えていた。

 それなりに鍛えられたスキルは、スキルについて無知な地球人にはとても有効で、5人はグループになってから、お互いの役割を何となく理解して捕まらないよう、助け合っていた。


 しかし、5人はやがて知る事になる…… 圧倒的な力の差を…… 真剣に必要によって鍛えられたスキルにより、自分たちが今まで無意識に使用してきたスキルが通用しない存在がいる事を……


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る