第10話 ランドールの2人
開業して2日目、日曜日に私は弥生と一緒に東京に出てきた。昨夜はあれから執拗に私にエロフは居たのかと聞くタカフミさんとバトルがあったらしい弥生。
「そんなにエロフが良いなら探して結婚すれば? って言ってやったわよ!」
なんて弥生は言ってるが、2人が深夜に仲直りしたのは今朝の2人の態度で私にも分かったよ、弥生。
そんな会話をしながらあるマンションに入る弥生と私。3階にいき、階段室の前にある部屋に入り、中で待機していた2人の女の子に紹介された。
「タケ
弥生がそう言うと
「ちょっと待って下さい、弥生さん。私達、いきなり弥生さんが連れてきた見知らぬオジサンに守ってもらえって言われても、このオジサン自身を信用できません!」
それを聞いた弥生がイラッとした顔をしたので私は慌てて自己紹介を始めた。
「ああ、それは申し訳ない。私は弥生の幼馴染でね。
私がそう名乗ると
「ナミちゃん、ヒナはこのオジサン信用出来ると思うな。顔もイケてるし、一緒に守って貰おうよ。ね、ナミちゃんもそうしよう。それに迎撃紳士って屋号も格好いいじゃん!」
何か頭のネジがゆるそうな喋り方だが、こういう娘こそ油断出来ないのは異世界で経験済だ。私はヒナちゃんに礼を言った。
「ヒナちゃん、有難う。必ず守るよ」
「うん、オジサン、よろしくね」
「ヒナ…… 分かったわよ、
どうやらナミちゃんもしぶしぶながら受入れてくれるようだ。コレで私がこの2人のボディガードをする事が決まった。弥生が改めて話しだす。
「対外的にはマネジャーとして紹介するわね、タケ
「ああ、恐らく大丈夫だ」
私は弥生の問いにそう答えた。何故なら異世界で魔王討伐の旅に出ていた時に、その日程や工程は全て私が決めていたからだ。他の者は面倒がってやってくれなかっただけだが……
「それじゃ、コレを渡しておくわ。明日からのこの娘たちのスケジュールよ。それと、タケ
そう言うと弥生が去ろうとしたので、慌てて私は止めた。
「待て待て、弥生。私の部屋は何処で、鍵なんかは? それに生活必需品なんかはどうなってるんだ? それに一旦は家に戻りたいんだが?」
そう聞くとクルリと振り返った弥生は、
「あ、ゴメンナサイ。それを先に伝えるのを忘れてたわ。この部屋がそうなの、タケ
そう言って机の上に置いてあった鍵を私に手渡した。そうか、まあ転移で直ぐに戻れるから家に戻るのはいいか。後でタケシに連絡を入れて暫く東京で仕事をする事になったと伝えよう。
そう考えた時に、弥生の最後の言葉にナミちゃんが抗議を始めた。
「えっ!? こんなオジサンを部屋に入れるなんてイヤですよ! 弥生さん」
うーん、どうもナミちゃんには嫌われてるようだな。まあ、その辺はオイオイと解決して行こうと思う。そして私はこう言ったんだ。
「大丈夫だよ、ナミちゃん。部屋に入る必要は無い。ここからでも盗聴器なんかの電波を調べる事が出来る道具を持ってるから、安心して欲しい。勿論、調べて異常があった時には知らせるよ」
そう言うとナミちゃんはホッとした顔をした。それを見たヒナちゃんが暴露してくれた。
「ナミちゃん、またお部屋にゴミを溜めてるんでしょう? ダメだよ、ちゃんとゴミの日に出さないと」
その言葉にナミちゃんが慌てて否定する。
「なっ!? ち、違うわよ、ヒナ。私はこんなオジサンに部屋に入ってほしくないだけよっ!」
そうか、ナミちゃんは
私は男性でも女性でも関係なく、病の人を別にして、部屋を片付けできないのは人として残念だと思ってしまうのだ。
「ふーん…… まあ良いけど。オジサン、ヒナの部屋は入ってもらっても大丈夫ですよ」
そう言ったヒナちゃんに弥生が注意した。
「ヒナ、それにナミも言っておくわよ。タケ
「はーい」
「はい……」
先がヒナちゃんで後がナミちゃんの返事だ。ヒナちゃんは素直そうだが、ナミちゃんは弥生が言うから仕方なくって感じの返事だな。
それから、プライベートで出かける時も私に一言いう事を決めて3人は部屋を出て行った。
私の部屋の左がナミちゃんで、右がヒナちゃんの部屋のようだ。1人になった私は早速ナミちゃんの部屋を【電波感知】を使用して調べてみた。すると、盗聴器は無いがベランダの天井部分にちょうど死角になる位置に小型のカメラが設置されている。更に2人の部屋の
慌てて私はヒナちゃんの部屋も同様に調べて見たら、ヒナちゃんの部屋のベランダにもカメラが仕掛けられていた。
だが、2人とも普段からカーテンを閉めてベランダに出る事も無いようなので、今のところ何も撮影されてはいないようだ。
私は【魔力感知】でカメラに残った残留魔力を確認して、追跡した。すると、何とナミちゃんの直ぐ上の階に住む者が設置したようだ。
コイツがストーカーか? そう思ったが私は慌てて判断しないように心を落ち着かせる。
因みに、
取り敢えず、私を嫌っているだろうナミちゃんではなく、ヒナちゃんの部屋に訪れてカメラの事を伝えよう。そう考えた私は部屋を出た。
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