4話:ネコの謎

数日後。

僕は、再び相田さんの家に行った。

「お邪魔しまーす…」

「いらっしゃい」

落ち着いた声が聞こえる。それとは別に、少し慌てた声も聞こえてくる。

「ねぇお母さん!クロやっぱり逃げていくって!」

どうやら、ネコに苦戦しているらしい。

逃げたネコが、来客者を迎えた人見知りのように少しだけ顔を出す。

「あ、今なら…!」

後ろから来る相田さんに気付いたネコは、相田さんのお母さんに簡単に抱き上げられる。

「ほら、入って」

僕は靴を脱いで揃え、相田さんと彼女のお母さんについて行った。


リビングに通され、お茶を出される。

相田さんのお母さんは、ネコを僕に預けてその場を去っていった。

「で、なんでだったかは分かった?」

「分かんないや…相田さんはなにか試してみたり?」

「してみたはしてみたけど…全部失敗。少しヘコむね」

「そっか…僕も急に抱えられるようになったんだよね」

「なにかその間に変わったりしたことはないの?」

一つ一つを確認しながら、思い出してみる。

すると、あることが引っかかった。

「あっ…」

「何か分かった?」

「退屈…しなくなった」

「えぇ〜?」

相田さんは首を傾げる。

でも、この仮説が正しいとするのなら、それは非現実的だし、相田さんは退屈していることになる。

「そっか…とりあえず手伝ってくれる?」

「…退屈してるの?」

「まぁ、そうかも」

信じられない。

相田さんは普段からクラスの中でも中心的な存在なはずなのに。

「…いいよ?」

「ありがとう」

こう言うってことは、相田さんも退屈しているのだろう。

僕は、好奇心と助けたいという気持ちが混ざった状態で彼女を手伝うことになった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る