終わり
『こちら第五地区参ノ壱番地、応答願う……』
……
『レイカ、今住所を転送した。
『了解』
◇◇◇◇
「ごめん熾音。今日はもう帰るね……」
オレは昔から、いまもずっと……。
「具合が悪いのか? ここ最近ずっとそんな感じだぞ。食い過ぎか?」
「別に……! そういうこと女の子に言っちゃいけないんだよもう。じゃあね!」
「ちょっと待てよ! コレ……そのプレゼント……今日だろ、誕生日」
「何これ、」
「ブレスレットっていうの? 何が喜ぶか分からなかったから、おすすめを店員さんに選んでもらったんだ……あぁデザインはオレが選んだ」
「正直すぎだよ! ……でも、ありがと、」
千紗は赤に変わる信号をギリギリで渡って、そのまま別れてしまった。
「家、隣なのに……」
家に帰ると同時にオレはカバンを投げ捨て、部屋の明かりをつけた。
母親はいない。父親は滅多に帰ってこない。1人なのは慣れていた。それは千紗のおかげ……1人であっても独りではなかったからだ。
やっぱり、1人暮らしの千紗が心配だ。電話でも……。
グノオオオォォォ~~~!!!!
「!?」
千紗のLINEを開いた瞬間に外から獣が叫んだような声が聞えた。急いで靴を履いて隣の千紗の家のインターホンを鳴らすが、応答がない。
「おい千紗! ヤバいぞ! この辺りに天使化した人が来てるかもしれない!!」
ドアノブを引くと、鍵がかかっていなかった。幼馴染とはいえ1人暮らしの女子高生の家に無断で入るのは良くないと一瞬頭をよぎったが今は緊急事態だ。
ガチャ―――
ドアを引こうとした瞬間、黒い翼の生えた人間にドアごと蹴り飛ばされ、オレはコンクリート柱まで吹き飛ばされた。
痛い。痛いはずだ。でも背中の感覚が無い……血が出てるのか、それとも骨が折れているのか、それすらも分からない。
「、っう、……誰だお前……な、んで千紗の家、……に?」
視界がぼやけて近づいてくるソレの顔が誰なのかはっきり分からない。オレはコンクリート柱を伝うように立ち上がり、なんとか足を走らせた。
とにかく千紗の家からこいつを遠ざけようと力を振り絞ったが、もう息をすることすら苦しい……。全力で走っていたと思ったが、倒れこんだ視界に先ほどのコンクリート柱が見える。
オレの血だ……。人ってあんなに血が出るのか、。まだ、死にたくない……。
脳裏に千紗との思い出が蘇る。
――――――千紗に助けられてばっかじゃねえかオレ……。
まだ何もあいつに返せてねえのに……! 高校生になって……あいつより背が高くなって……それで……、それで今度はオレが……って。バカだな、オレ。
好きな人すら護れねえ……!!
グノオオオォォォ~~~!!!!
振り下ろされる、見たこともないほどに長く、鋭く、大きな翼が視界に飛び込んできた。
「――――――ッ!!」
ガキン!!
「大丈夫か? これを飲んでここから離れるんだ」
恐る恐る目を開けると、白い制服を着た中学生くらいの少女が日本刀で翼を受け止めていた。ショートカットの髪の毛が揺れて、鋭い眼が一瞬見えた。
「君は誰だ……?」
「早くどけ!! このバカタレが!!」
えぇ……、口悪っ。凛とした顔だったからもっと気品がある人かとおもったのに……、。
「両方、強い……、」
目にも止まらない速さで攻撃してくる翼を全てあの重そうな刀で防いでいる。警察の特殊部隊か? オレたちを助けに来てくれたのか……! とりあえずオレは千紗の所に行かないと!
さっきより体が軽い。さっきあいつがくれた薬が効いてるようだ。
千紗の部屋に入るが、いない。他の部屋のどこにも千紗の姿がない。オレが襲われているうちにもうどこかに逃げたのか……?
――――――オオオォォォ~~~!!!!
パリンッッ!!!!
「バカタレが……ここから離れろと言ったはずだぞ……」
リビングの窓を突き破って、さっきの少女が血まみれになっていた。血がついた翼を一振りして、アイツがこちらに迫ってきた。
「おい! お前、大丈夫かよ……! くそっ……」
近くに置いてあった花瓶を勢い良く投げ当てるも、簡単に翼で弾かれてしまった。
視界がだんだん戻ってきた……。
「もう翼の生えた人間ってよりかは翼のあるバケモノって感じの見た目だな! てめえ。おい、刀のお前! あいつに勝つ良い作戦がある……、耳貸せよ」
「私に命令するな……! と言いたいが、何だ話せ……」
………………。
グノオオオォォォ~~~!!!!
「!!!!」
オレは金属バットを思い切りヤツに振りかぶったが、かわされた。
――――――翼の反撃が来る!
「わざとかわされて、ヤツの翼攻撃を受け止めるたぞっ!!」
「……ただの高校生にしては出来過ぎだ貴様。あとは任せろ。なあ? 背後がガラ空きだぞ!」
――――――風が吹いた
なんだ今の技……。
「両翼が同時に切れた!!」
グノオオオォォォ~~~!!!!
「……待て!!」
悲鳴を上げながら、翼が切れたソレは突然空に出現すた闇の渦中に消えてしまった――。
「逃げたのか……?」
「取り逃がしたが……人命優先か……。立てるかお前」
「お前じゃない……オレは世良熾音だ」
「私は速水レイカ。病院に行く前に確認したいことがある。今のあいつは知り合いか? ああ、翼が生える前の人間のときのあいつは知り合いか? って意味だ。コレ、あいつが腕に付けてたブレスレットのようなもの。見覚えは?」
「――――――ッ!?!?」
(天使事変終わり)
――――――――――――――――――
<兎>
もしかしたら……続き(orリメイク)するかもです……()
天使事変 ミステリー兎 @myenjoy
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