第20話 広がる波紋
「どういう事だ…?新崎、裏切っては…」
「ないな、だがこの状況をどう切り抜ける…?!」
俺は盾を構え皆の前に立ち生徒会長と対話の意思を示す、キャットウォークの上に四人、裏口に六人、前方に二人と生徒会長
殺す意志はないが奴らに捕えられると考えれば元々人数の少ないバンディットの人数がもっと少なくなる
「選択はNOだ、今すぐ撤退しろ!俺たちが戦う意味はない!」
「いいや、廃工場での不良グループの抗争。そして銃刀法違反の現場を押さえるという意味がある」
立場的な優位を俺は取ろうと主張をするがそく反論される
「玲、今逃げれる奴を連れて逃げろ。残念だが今気絶してる奴を逃す余裕はない」
アイテムボックスの内部は無重力状態で縦横無尽に武器などが飛び回っているため生身の人間が入ると危険だ
「ちぃ…」
「俺が奴らの気を引く、その瞬間にいけ」
わかったと玲は武器を構えながら言った
「わかった、降参だ!俺はそっち側につく!」
俺は両手を上げて生徒会長に近づく、銃を構えた一人は俺から銃口を逸らさない。ブレインズが資金、アナーキーが法を恐れない精神を強みとするならば生徒会はこの一糸乱れぬ統率が強みか
ならばバンディットの強さは___
俺がいる事だ、盾を投擲し俺に銃を向けた生徒会員の顔面にぶつける。それに驚いた奴らの隙をついて玲は窓ガラスを破って脱出した
「交渉決裂か…αは追跡を、βは私の援護を」
裏口にいた六人が追跡を始めキャットウォークにいた二人は俺を射撃してくる、だが先に俺は盾とライフルを回収しもう一人の生徒会員の胴体に攻撃し気絶させた
視線がズレた隙を逃さず会長は盾を使い俺を殴った、大きく吹っ飛ばされた俺はライフルをアイテムボックスにしまい鉄骨を蹴って体制を直した俺はそこから蹴って地団駄を踏むような蹴りを生徒会長の盾に入れて隙を作りアーチャーの弓を取り出しショックアローと言う移動エネルギーを衝撃波に変える矢を作るスキルとデュアルアローという矢を2本に増やすスキルを使いキャットウォーク上の二人の胴に当て気絶させた
弓をしまい俺は生徒会長と睨み合う、最初に動いたのは俺だ
跳躍し右手の盾で顔面を殴りつける、奴の顔面に盾がめり込むも俺の腹部に衝撃が走る
「ぐっ!」
ダメージはないが痛みが走る、奴の盾を見ると裏側にリュックサックによくつけられているプラスチック製のテープアジャスターバックルでメイスやスタンロッド、スタングレネードに拳銃とそのマガジン、そして今奴が持つソードオフショットガンの予備弾薬が取り付けられていた
久遠の盾の軽量さと攻撃手段をそう補うとは……
「ファング、右腕だ!殺すなよ!」
盾で地面をたたき右腕に影が纏わりつく、ガーディアンは攻撃系のスキルがなく格闘と盾の持つ魔法とスキル無効化で無理矢理ぶん殴る
だが格闘ゲームでいうミラーのこの状況では互いに不利でありながら奴はパトロンによる物資の有利を活かしてスタングレネードによる閃光やショットガンによる衝撃で俺と距離を取ることが可能だ
しかし俺も策はある、影の魔獣ファングを盾をフィルターに纏わせる事で魔力の塊である魔獣の体に俺の体が蝕まれずに攻撃手段として活用できる
巨大化した右腕の影による牙と爪を使い攻撃する、盾としての防御力こそ失われるがスキルによる身体強化でそこはある程度は補い奴の弱点を狙う
スキルも魔法も無効化するガーディアンと久遠の盾の弱点、それは軽さだ
ゲームのタンク役と言うのは移動速度が遅い重戦士が多い、しかしガーディアンは軽量化のスキルによりその重さを消し素早さも手に入れた
そこが弱点となり強い衝撃などを受けると吹っ飛んでしまう、それを防ぐためにファングとの契約により影の楔という魔法によってその場にとどまる事ができる。ザアナでは影を喰らう魔獣と言うのはとても希少で弱点にはあまりなかった
ファングを起点とし蹴りで隙を補っていく、それに対し奴は拳銃を取り出し映画の様なガンアクションで牽制してくる
奴の拳銃が弾切れになった瞬間、俺は奴の腹を蹴り背後に周りファングに影を食わせる
足を蹴って後ろに倒れた奴の後頭部を蹴り右腕のファングを解除し顔面を殴りつけ地面に叩きつける
これで一切傷がついていないのは化物すぎるな……奴が立ち上がろうとした瞬間に俺は盾で殴りつけ吹っ飛ばした
だが力を入れすぎてキャットウォークの支柱に命中し崩れていく
「しまった!」
奴は鉄骨に巻き込まれる程度では傷一つつかないが上にいる俺が気絶させたあの二人が巻き込まれてしまう、
俺は走り幅跳びの要領で一人を抱きかかえて救出するも一人に手が届かない、軽量化のスキル効果は俺と装備にしか発動せず生徒会員の一人の重さによってもう一人にあと少しのところで手が
一人をおいてもう一度戻ってくる余裕はない、そんな時
生徒会長がもう一人を抱きかかえ着地した
「助かった、感謝するよ」
「気にすんな、お礼として逃がしてくれたら嬉しいんだが」
二人を床に転がして俺たちは再度向き合う、だが奴は盾を下した
「わかった、今日のところは見逃すよ。我々も痛手を負った……そうだ、一つ良いことを教えよう。我が校だけでなく学区外の高校もチームを作ったりブレインズやアナーキーに参加している」
「……そうかい____
玲達との合流場所である桜平駅の駐輪場に向かい俺たちはそこで解散した、もう日は沈んでいる
「大丈夫だったか?」
「ああ、何とか。それでなんだが、他校の奴らが他のチームに合流したって言っていたが何か知ってるか?」
俺と玲はコンビニの駐車場で話していた、少し肌寒いが暖かい飲み物よりも冷たい炭酸が飲みたくなり俺は玲にコーラを奢ってやった
「他校の奴か……聞いたことはないが、確かにブレインズの情報網はかなり広い。ソレが関係あると思う」
なるほどな……しかし厄介なことになった、桜市の高校は4校ありどれも人数が多い
「生徒会の連中は全ての高校の生徒会と手を組むそうだ……ま、今日は帰るか。飯行くか?奢るぜ」
「悪い、俺バイト」
次の作戦に向けて俺たちは情報収集を次の目標として動くことになった……
午後11時になった、俺はキッチンで皿洗いをしていた
ヴォルザと沙奈はリビングで何やらパーツを組み立てている、沙奈は元々手先が器用でよくプラモデルを組んでいたのだがそこをヴォルザに買われて新兵器の組み立てとパノプティコンから奪取した銃の点検をしてくれている
「今は何組み立てるんだ?」
「アーチャーの弓を改造してパーツを取り付ける事でボウガンに変形する様にしておる」
ラップトップに映る3Dモデルを見ながら俺に返答するヴォルザ
「アーチャーは千里眼があるし弓には100キロ先まで撃てるのにそれ以上の能力がいるのか?」
「ああ、お主は他の英雄のスキルやらもあるからわからんじゃろうがアーチャーは近接戦闘に向いておらん、このボウガン用のパーツは変形させることで絶縁弾を使用できるライフルと槍になるんじゃ」
「てか、それなら何で俺の武器は改造してくれなかったんだ?」
「お主の武器には何故か触れんかったからじゃ、こっちの武器には触れるし術式以外は変えることができる…あとお主の旅だと腰を据えて作業出来んかったからのお」
ヴォルザはザアナで定期的に俺と行動していた、基本的には防具の修理のためだ
英雄たちの防具は確かに有用だが偏った性能をしており、例えばアーチャーの装備は現代で言うギリースーツで魔力を流す事で周囲に偽物の植物を生成し身を隠せる
コレは遠距離での狙撃ではとても有用で、偽物の木を盾にする事も可能で葉っぱに風が擦れる音で半径4キロ内の生物を探知できる
しかしこれでは直接戦闘などではあまり使えない、そのため俺用の装備として青の戦闘服を作ってもらった
英雄たちの武器を取り出すと胸部プレート内に隠された魔力を感知するセンサーが機能しその武器にあった予備装甲を魔力で形成することができる
「ただいまー」
「ただいまっす……」
そんな思考は紫乃と愛理の声で遮られた____
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