第4話 無双の始まりと少女との出会い
「むぅ、ダンジョンとしては小さい方じゃな。どうする」
「俺だけで行く、お前は漏れた連中をやれ。終わったらソレで連絡する」
俺とドラゴンの姿に戻ったヴォルザは魔力を感じてビルが並ぶ交差点へとやってきていた、俺の昔使っていたスマホをヴォルザに渡して簡単な操作を教えアイテムボックスからサムライの羽織とカタナを取り出し装備し飛んだ
無刀・
一太刀でウロボロスの無限を終わらせた一振り、概念すらも切断する鋭すぎる刃を使い俺は自分の周辺の空間を切断し別の空間に貼り付ける
イメージとしてはダルマ落としの積み木を入れ替えるような物だ、何とも馬鹿げたチートだなとは思うが問題もあり。物体は切ることができない
無を斬る事ができるが同時に斬れるものが無い、故に無斬と名がついた
攻撃方法はただ一つ、剣の斬撃の風圧で相手の攻撃を無効化しそのエネルギーを鋭い衝撃波として打ち返すか向かってくる速度のエネルギーを打ち返す
つまりはカウンター専用武器だ、移動性能としてはアサシンの方がスキルと合わせて速いのだが今回は突撃で早く終わらせるのが目当てなためサムライを選んだ
「ゴブリン、オーク……雑魚だな、手早く終わらせる」
交差点で車や自販機を破壊しているモンスターたちを見つけた俺は交差点の真ん中に着地すると大きく足を開きナキリを鞘に納めて手をかける
そして一閃した
無を切り裂きその一閃は異形の怪物たちへと放たれた、360度に放たれた斬撃は無機物には何のダメージを与えられなかったがモンスターは倒れた
一滴の血もこぼれず場を制圧し俺は気配察知で最も大きな魔力を持つ存在の元へと向かう、スイーツゾーン芸能事務所と書かれた看板の建物に入り目に付いたゴブリンに俺は氷の矢を放つ
七英雄の持っていたパッシブスキルは装備を変えても発動する、メイジの高度魔力操作と高度魔力回復、そしてアーチャーの命中率上昇と自動魔法制御の四つによりほぼ無限の魔力と適当に投げる程度でも百発九九中の制度を持つ
つまりは欠点を別の英雄の能力で補っているのだ、近距離、中距離、遠距離、物理、魔法
全てにおいて弱点がない
事務所の中ではモンスター達によって占拠されていた、それだけでもおかしい
だが俺からすれば見慣れただけ、その中で一つだけ問題があった。人間の肉体がポリゴンの様な物で覆われている
「魔素で肉体がダンジョンと外の世界の狭間にある……そうか、魔力がない人間が魔力に触れたことでダンジョンから拒否されているのか」
ダンジョンは存在自体が魔力で出来ている、モンスターの様な生物や大地、木々なども魔力で作られている
この世界に魔力は少なく俺もメイジを引き継ぐ前は魔法を使うことができなかった
つまりこの世界の人間は魔法に対して適性が無い、それ故にダンジョン化した際にダンジョンが人間を拒否しこのダンジョンに存在していない状態だ
簡単に言うならば表示バグと言うやつだ、ゲームでそこにいないはずのオブジェクトが表示されているような物だ。オブジェクトに当たり判定はないし攻撃もされない
民間人に怪我が出なくて良かった、だが気配察知で上に動く人間がいることが分かる
ヴォルザの様に異世界から来た人間、もしくは魔法に適性のあるレアなコチラの世界の人間か
カタナを構え登り固く閉ざされた扉をシャドウゲートでくぐり抜ける、ソファーやテレビが並ぶリビングルームの様に思える部屋だった。
コツンと靴が床で音を鳴らす、それに共鳴して奥のソファーの裏から声がした
「だ、誰!?」
「味方だ、落ち着け」
何となく聞き覚えのある声だなと思いながら声の主の元まで近づく、陰から顔を出したのはピンクのエクステと黒髪でツインテールにした少女
「イチスト太郎?」
「え、あ、そうだけど……君は……?」
今日テレビで見たばかりのインフルエンサー、イチスト太郎だった
「えっと……名乗る程のものじゃないさ」
ちょっと格好つけて俺は少女の手を引いた、取り敢えず少女の避難を優先することにした
その瞬間、俺の体から何かが抜け少女が光に包まれる
「きゃっ?!ナニ?!」
光が収まると少女はナキリを持っていた、だが俺の手にもナキリはある
「まさかっ!?鑑定!!」
アイテムの情報や相手の所持スキルなどを調べることの出来るエンチャンターのスキルを使い俺は少女を鑑定した
『市村愛理 17歳 ステータス_サムライ』
「噓だろ……」
イチスト太郎、もとい市村愛理は今。七英雄の一人であるサムライのスキルと能力を受け継いだ
「何これ……凄く……力を感じる……」
少女はナキリに触れて呟きスルリと刃を抜く、ナキリはそれに共鳴するかの様にライトでキラリと輝いた
「市村愛理、君には申し訳ないが危険な場所に連れて行かなければならなくなった。それが終わったら少し話がある」
もしこの少女が敵対しサムライの力を使おうものなら世界が混乱に陥る、ミサイルを打てばその爆発の衝撃で破壊の限りを尽くせる
一高校生がそこまでやるとは思えないが念には念を入れつ必要がある、それほどまでに英雄の力は強大なのだ
話を聞くとここは様々なSNSのインフルエンサー事務所だったらしく愛理は所属契約の話をするところだったそうだ
「上層階は撮影スタジオが4つくらいあってそこにその魔力の集まり?ってのがあると思うよ」
「わかった、離れるなよ」
愛理を連れて俺は建物の階段を上る、であったモンスターは魔法で即効倒し最上階のスタジオの扉を開けた
このスタジオは大型の企画をするためにかなり大きい、そして中央部には怪しく赤い光を放つ柱のようなものが経っていた。あれがダンジョンを形成しているエンジン的な物だ
「数が多いな……」
ゴブリン、オーク、食人コウモリ、様々なモンスターが幾つもそこにおり俺らに集まってきた
ナキリを構え攻撃範囲に入った瞬間、一閃し倒す
「凄い……刃が当たってないのに倒した!」
愛理を後ろに下げて俺はスタジオ内を見渡す、魔力の集合体が中央部にある宝石だと俺は察知した
そして同時に背後でもう一振りのナキリが振るわれた、愛理が俺を真似しようとして居合切りを放ったのだ
「不味いっ!!」
攻撃範囲を理解していなかった愛理の斬撃が俺に飛んでくる、それを自分のナキリで相殺したのだが離れたモンスターに攻撃が届いた
ナキリでは到底届かなかった距離すらも届いた……
「そうか、ホースみたいになってるのか……」
ホースの先を潰すと水は隙間から勢いをまして飛ぶ、つまり愛理の持つナキリから圧縮した斬撃を更に圧縮して押し出す
より正確に、そしてより強力な斬撃を飛ばすことができた。ザアナでできなかった二振りのナキリによる強力な攻撃
「戦えるか?」
「うん、なんか行ける!」
何とも楽しそうな愛理と共に俺はナキリを構える
「もっと鋭くっ!」
慣れている、たったの一振りで愛理はナキリの癖を掴んだ
斬撃を飛ばすのは魔力で疑似的な再現すらも難しいにもかかわらずいとも簡単に会得した挙句に制御すらこなしている
「それなら、オロチ!」
飛ばされた斬撃を7つに斬り裂きモンスターに攻撃を与えた、サムライのスキルの一つオロチ
一振りで七方向から切りつけるスキルだ、それを使い俺は範囲攻撃にしたり一人に連撃を食らわせたりなどで使用したが斬撃を飛ばしたのは初めてだ
柱に近づいた俺は大きく踏み込み刀を抜刀した
「七転……抜刀___!!」
世界が一閃された
俺が切り裂いたのは柱ではない、時間と空間
一振りは空間を切り裂き無限の威力を、切り裂いた時間は七回の斬撃のを一瞬で終わらせた
一点集中、一つの箇所に何度も強力な斬撃を繰り出した事で柱はゆっくりと崩れ落ちた____
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